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トップ > 映画 > 西加奈子に訊く、「きいろいゾウ」の世界
Check Clip to Evernote 2013.01.31up

西加奈子のロングセラー小説『きいろいゾウ』が映画化

満月の夜に出会ってすぐに結婚したツマとムコ。お互いのヒミツを知らないまま、2人は暮らしはじめた──西加奈子の小説を映画化した『きいろいゾウ』は、傷つきながらもお互いを信じ、想い合うラブストーリー。主役のツマとムコを演じるのは、「いつか、この小説の『ツマ』役を演じてみたいです。」と原作本の帯に寄せていた宮﨑あおいと、雑誌でオススメの1冊として紹介していた向井理の2人。原作者として初の映画化となった西加奈子さんにお話をうかがいました。

Profile

西加奈子

西 加奈子(にし・かなこ)
1977年5月、イラン・テヘラン生まれの大阪育ち。関西大学卒業後、ライターなどを経て、2004年に『あおい』で小説家デビュー。2005年に刊行した『さくら』は25万部を超えるベストセラーとなる。2007年『通天閣』では、織田作之助賞受賞。今回映画化された『きいろいゾウ』は2006年の作品。また、小説に登場する“きいろいゾウ”のエピソードを元にして作者自ら描いた絵本も発表している。
http://info.nishikanako.com/

原作に忠実? うちは全然、いい意味で違うと思う

──小説『きいろいゾウ』はたくさんのファンがいますが、今回の映画は原作を単なるプロット(あらすじ)としてではなく、世界観を映像化したような印象がありました。できあがった映画を観ての感想はいかがですか?

もう、キュートやなって。廣木監督って、うちは『余命1ヶ月の花嫁』より、『ヴァイブレーター』や『軽蔑』のイメージが強くって。ご本人もすごい強面やし(笑)。でも、後から、原作の『きいろいゾウ』がすごく好きでとおっしゃってくださって。それに廣木さん、独身なんですよね。私が『きいろいゾウ』を書いたときも独身で、夫婦への憧れを抽出して書いたから、それが原作としても、監督としても良かった気がします。

──ツマとムコを演じた宮﨑さんと向井さんも、すでに原作のときから『きいろいゾウ』を読んでいたというのも大きかったと思うんですが、それはいかがですか?

うちはプロじゃないから演技とかは分からないけど、(映画化される)成り立ちとして、こんな幸福なことはないなって。最初から好きやった作品と言ってもらえることって、すごい稀有やし、すごい幸福。おふたりが想うツマとムコを新しく作り直してくれたって感じがします。だから原作に寄り添うというよりは、もともと好きでいてくださった世界を自分たちで再現したという印象ですね。


──今、稀有っておっしゃいましたが、作家の方って、本は本で完結しているから、映画化される際は、全然違うものに、ということをおっしゃる方も多いですよね。

それは当然やと思います。誰ひとり、映画化を目指して書いてる作家はいないんですよね。小説でしかできないことを作家は全力でやるべきやし。映画になったら、そのアンサーじゃないけど、映画にしかできないことを監督はやると思うんです。だから今回、廣木さんに見せつけられたというか、「これが映画やぞ」って言われた感じがして、うれしかったです。原作に忠実って言われているけど、うちは全然、いい意味で違うと思う。映画にしかできない素晴らしいことをやってくださったから。

──たとえば、どんなシーンでそれを強く思いましたか?

ツマとムコが水道で手を殴るシーンとか、私は原作では感情に寄り添って、なるべく丁寧に書いたつもりなんですけど、映像では光の加減で、2人の関係に暗雲が差しかかっていることが分かるんですよね。蛇口のワンショットで、あ、不穏なんやって分かる。それって、映像でしかできない。それに心証を語らせなくても、宮﨑さん、向井さんの表情でどんだけ苦しいのか数秒で伝わるというのは、映像の一番強いところやと思います。


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