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トップ > 音楽 > 岡村詩野の、京都「音楽」歳時記 第6回
Check Clip to Evernote 2014.10.30up

東京で音楽ライター業をスタートさせ、現在は京都在住の岡村詩野がお届けする連載『京都“音楽”歳時記』。東京にいたからこそ見つかる、ホントの京都音楽シーンの面白さを徒然なるままにお届けします。
【岡村詩野】『ミュージック・マガジン』などの音楽メディアで活躍するほか、京都精華大学の講師なども務める。ラジオ番組『Kyoto Jumble Street』(KBS京都・日曜20:00~)のパーソナリティも。

Live Data

『ボロフェスタ2014』
日時:2014年10月24日(金)~26日(日)
会場:KBSホール、CLUB METRO
URL:http://borofesta.ototoy.jp/v/top/

第6回 今年のボロフェスタの話

 更新を楽しみにしてくれているみなさん、すっかり鈍ってしまって本当にすみません!すっかり体調を崩し、さらには10月は東京・渋谷の映画美学校というところで毎週火曜日に批評家コースの授業をさせていただき、京都と東京を頻繁に往復する日々でした。なかなか治らない風邪がズルズルと続き、栄養ドリンクでどうにか乗り切った、という有様で、ほんと、毎日ちゃんと生活を管理しないとダメだなあ、と猛省する昨今です。ああ、言い訳ばかりで情けない!これからはちゃんとこの連載もコンスタントに更新をしていきますので、どうかどうか引き続きご贔屓に・・・!

 さて、例年になく台風の多い今年の日本ですが、ようやくここ京都にも秋らしい日々が訪れています。先週末には[KBSホール]で毎年恒例の『ボロフェスタ』が開催されて連日大盛況でした。odd eyes本日休演HomecomingsHi,how are you?HAPPYメシアと人人花泥棒・・・といった京都出身の気鋭が多数出演しただけではなく、ロビーには[JET SET KYOTO]が出店していたり、『ボロフェスタ』主催者の1人、モグラ氏が店長をつとめる京都二条の[Live House nano]がカレーなどを安く提供していたりと、いかにも京都の音楽シーンらしい雰囲気もたっぷり。一方で、畠山美由紀さん、川本真琴さん(バックはラブクライの三沢洋紀さん、テニスコーツの植野隆司さん、スカートの澤部渡くん、はこモーフの池上加奈恵さんというファン垂涎のメンツ!)、大森靖子さんといった全国規模の人気を誇る女性シンガーや、BELLRING少女ハートゆるめるモ!といったアイドル、七尾旅人クリープハイプなどのビッグネームも登場するなど、この手作りフェスの遊び心と意識の高さの両サイドを今年は例年以上に実感させられた人も多かったと思います。

 実はご存知の方も多いと思いますが、開催直前に、こちらも人気を集める大阪のフェス『見放題』副実行委員長で、『ボロフェスタ』界隈とも親交があったという潮大輔氏の訃報が届きました。私自身、普段のおつきあいはなかったのですが、共に正規のイベンターを通さず手作り開催で規模を大きくしてきた関西の二大フェスの幹部の1人の突然の死に心が痛まなかったはずもなく、はからずもその潮氏への弔い開催のような意味合いも持つこととなった今年は、それに応えるかのようなアーティストたちの熱演、ボランティア・スタッフの熱血サポートに例年以上の拍手を送りたい気持ちにさせられた次第です。スタッフといっても、出演アーティストごとについているお世話係から、バックヤードでの「まかない」作り、正面入り口のゴミ拾いや機材車の誘導まで仕事内容は様々。ボランティアの学生のみならず、関わる出演アーティストも一緒になって支え合う様子は、しかしながら、和気藹々どころか、例えば裏にまわると戦場さながらの混乱と激しさで、昨今増えてきた他の手作りフェスとは一線を画していることに気づかされます。背中に“ボロフェスタ”とペイントされた真っ赤なツナギを着用し、耳に挿入したモニターで逐一状況を確認する幹部の一人、モグラ氏の動きを見ていると、イベント開催の厳しさを痛感させられたと同時に、『ボロフェスタ』がここまで成長してきた理由を思い知らされるわけです。

 彼らは一切の妥協をしない。現場の甘えを許さない。本当に好きなアーティストを手弁当で呼ぶことを軸にしながらも、パフォーマンスさえよければ全てよし、という考えを持っていない。だからこそ、一見学祭のようなユルさがあるものの、運営はいい意味でシステム化されていてアーティストも満足した顔で帰って行く。常に新しいスタッフが加わる新陳代謝もプラスに働き、現場が毎年フレッシュさを保っているのも魅力。今年から本格的にスタッフに加わった花泥棒の稲本裕太くんも、「どこで何が起こっているかをちゃんと把握しておかないといけないから」と同じ場所に長居することなくウロウロと会場中を忙しくパトロール。で、その横からモグラ氏が茶々を入れながらゲキをトバすという場面も!

 そして、そんなスタッフの多くが、主催者の1人である飯田仁一郎くん率いるLimited Express(has gone?)のパフォーマンスをフロアから客と一緒になって応援したりと、スタッフ同士の信頼関係が築かれている様子を確認できるのもこのイベントの醍醐味。もちろん、問題点もないわけではない。2日目夜のクリトリック・リスのロビーでのパフォーマンスに人が集まり過ぎ、ホール内のライヴを見終わって出てくるオーディエンスの導線が極端に細くなって大渋滞を起こしたり、ドリンク・カウンターで早々に水が売り切れてしまったり(補充なし)、物販カウンターが小さ過ぎて、全ての出演アーティストのグッズを一堂に見られないという不便さがあったりと、残念と思える課題は来年までには改善をお願いしたいもの。でも、この『ボロフェスタ』の継続が『見放題』のようなイベントを誕生させ、多くの若手アーティストたちの目標になっているという事実は今一度ちゃんと認識した方がいい。そんなことを感じながらも、川本真琴さんが披露したまさかの「DNA」や「焼きそばパン」で狂気した筆者でした。

 ではまた次回の更新で!


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