関西人による、関西が好きな人のための、関西を24時間遊べるウェブマガジン Lmaga.jp


トップ > 音楽 > orange pekoeの2人からの贈り物
Check Clip to Evernote 2014.12.19up
ソロを経てビッグバンドのライブ盤 orange pekoeの2人からの贈り物
1998年、関西学院大学・軽音楽部で出会ったナガシマトモコと藤本一馬が結成したorange pekoe。2002年の1stアルバム『Organic Plastic Music』は30万枚以上のセールスを記録し、一躍全国区となった。これまで7枚のオリジナルアルバムを発表するとともに、芳醇な音楽性を披露。その後は、コンポーザーである藤本一馬が自らのルーツに迫るソロ作を発表するなど、orange pekoeとはまた違った活動も見せるようになった。そして今年、ナガシマトモコも初のソロ作をリリース。新世代のネオソウルを高らかに鳴らしたアルバムを聴くに、やはり気になるのは母体となるorange pekoeの行方だ。そんな2人にソロ活動、そして間もなくリリースされる新作について話を聞いた。

写真/本郷淳三

Profile

tofubeats

orange pekoe
(オレンジ・ペコー)

1998年、ナガシマトモコと藤本一馬の2人でorange pekoeを結成。2002年にメジャーデビュー。翌2003年に発表したメジャー第一弾アルバム『Organic Plastic Music』は30万枚以上のセールスを記録。ジャズやブラジル音楽など独自に昇華したサウンドで一躍全国区となる。以降、オリジナルアルバム7枚をリリース。日本だけでなく、アジアやニュヨークでのCDリリースやライブ公演なども行っており、多くのミュージシャンから高い評価を得ている。

orange pekoe公式サイト
http://www.orange-pekoe.com

藤本一馬・公式サイト
http://kazumafujimoto.com

ナガシマトモコ・公式ブログ
http://ameblo.jp/tomoko-nagashima/

「自分の表現はやっぱりorange pekoeでは難しい」(藤本)

──2011年に藤本一馬名義でリリースした『SUN DANCE』を含め、これまで3枚のソロ作をリリースしていますが、最初のきっかけは何だったんですか?

藤本「ずっとギターのインストゥルメンタルのアルバムを作りたいと思っていたんです。だから『SUN DANCE』の曲ですら、7年くらい前のものだったりして。今回の『My Native Land』のプロデューサーが、南米アーティストの作品などをリリースしているレーベル[NRT]主宰の成田(佳洋)さんなんですけど、彼がライブを観に来てくれたのがきっかけだったかなぁ。ちょうど自分の中でアイデアがまとまった時期で」

──その頃のorange pekoeはどうだったんですか?

藤本「6枚目の『CRYSTALISMO』(2009年)を出した直後でしたね。そのアルバムを作っているときから、これをリリースしたら絶対にソロ活動をするって決めてたんです」

──2人にとって、一段落という感じだった?

ナガシマ「そうですね。そこでレーベルの契約もいったん終わったので、自由になったんですよ。それまでは、何年で何枚という契約だったので、必ず次にリリースすることが決まってたんですけど、そのとき初めて、いつでも自由に作っていいという状態になって。私としてはライブをしようと思って。クラブツアーとか、ホントに1年中、ライブをしている時期に突入するちょっと前でしたね」


藤本一馬「My Native Land Ⅱ」

orange pekoe「FLOWER」

──orange pekoeというのは、2人にとって母体ですよね? そことは別にソロをやるというのは、orange pekoeでできないことがあったのか、それともまた違う意味合いがあったんですか?

ナガシマ「一馬くんは、ギターをいっぱい弾きたいって言ってました(笑)。そうだね、orange pekoeでは伴奏になるもんねって」

藤本「ハハハ(笑)。orange pekoeでは、サウンド全体を作るというのがあるので、あえてギターをフィーチャーしないんですよ。でも、そろそろギターときちんと向き合って、自分の表現というのを突き詰めたくて。それはやっぱりorange pekoeでは難しいので、思い切ってソロをやろうと。あとはもうひとつは、ギター弾きとして自分がやりたいことはなんだろうか?と。ソロは完全にそっちに振れているという感じですね」

──ギターをいっぱい弾いたことで、見えてきてたことは?

藤本「そうですね。orange pekoeはやっぱりナガシマが表現の核なんです。でも、自分のソロでは僕自身がトップに立たないといけなくて。まぁ、当たり前なんですけど(笑)。それをやることで、自分がどんなものを作りたくて、どんなことをみんなに感じて欲しいのかをより考えるようになりました。作曲面においても、少なからず変化はありましたね。あとは逆にボーカルものを作りたい気持ちが以前より強くなって。いいメロディへの欲望は、どんどん高まっています」

──動機がいいですよね、ギターをいっぱい弾きたいって(笑)。

藤本「ハハハ(笑)」

ナガシマ「そう! すごいピュアやなぁって思って。“オレ、ギター弾きたいねん”って。じゃあ、やったらって。もう、そう言うしかないですからね(笑)」

──資料によると、ここで目指していたのは、「楽曲性と即興性の間に存在するひらめき、また響きの間に存在する静かな瞑想感」とありますが、ハイブリッドな音楽センスから鳴らされるチェンバー・ミュージックは、世界の新たな流れでもありますよね。

藤本「基本的にはアコースティックな響きをもった、新しいインストゥルメンタル音楽ですね。各楽器が決められた譜面通りに演奏しつつも、そこから即興的に広げていくという。きちんとしたメロディが存在する中で、各パートを担うミュージシャンがどれだけ音楽を膨らませていけるか。ソロ3作は、そういう音楽の作り方ですね」

──自由と束縛のスリリングな関係の中で、音楽として成立させるという。

藤本「完全にミュージシャン同士の会話ですし、彼らがもっている世界が音楽の中で膨らんでいくんです。でも、楽曲としての構成もきちんとしているのが大前提。そこでどれだけ面白いことができるかという」

──ミュージシャン同士の信頼関係、それと感覚も大事ですね。

藤本「感覚ももちろんそうだし、僕の好きなECM(註:ドイツ発のレーベル。「沈黙の次に美しい音」をモットーに、ジャズやコンテンポラリー・ミュージック、古典音楽まで幅広く展開。世界中に熱狂的なファンがいる)の音楽だったりすると、ものすごく美しい旋律と毒をもった即興性、アヴァンギャルドなモードとか、すべてが渾然一体となっているんですよ。そこでのミュージシャンたちの集中力がとにかくスゴくて、なにか出せないかというせめぎ合いや試みに、いつもゾクゾクするんですよ。その影響は大きいですね」

[PR]オススメ情報