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Check Clip to Evernote 2015.08.28up
タナダユキ

「カメラの前でまったく無防備」 女優・大島優子を撮ったタナダユキ監督

昨年6月、センター・パフォーマーを務めたAKB48を卒業し、女優としての本格活動を開始した大島優子。宮沢りえ主演の『紙の月』(2014年、吉田大八監督)では、主人公の女性銀行員をそそのかす若い同僚を存在感豊かに演じ確かな実力を見せた。そんな彼女のAKB48卒業後初主演作がいよいよ公開される。監督は『ふがいない僕は空を見た』(2012年)、『四十九日のレシピ』(2013年)と、充実した作品が続くタナダユキ。来阪した監督に話を訊いた。
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取材・文/春岡勇二 写真/渡邉一生

Profile

タナダユキ
1975年生まれ、福岡県出身。2001年、初監督作品『モル』が『PFFアワード2001』にてグランプリとブリリアント賞の二冠を獲得。2004年にメガホンをとった『タカダワタル的』はじめ、『月とチェリー』(2004年)『赤い文化住宅の初子』(2007年)など、精力的に活動。『百万円と苦虫女』(2008年)で第49回日本映画監督協会新人賞とイタリアのウディネファーイースト映画祭My Movies Audience Awardを受賞する。また、2005年には杉作J太郎監督の『怪奇!!幽霊スナック殴り込み!』に主演で出演。2013年には小説『復讐』(新潮社)を上梓と、幅広く活躍。

http://mash-info.com/profile/y_tanada.html

Movie Data

映画『ロマンス』
2015年8月29日(土)公開

26歳という宙ぶらりんな年齢のヒロイン、鉢子。特急ロマンスカーのアテンダントをしながら、レールの上を淡々と歩いて生きる彼女だったが、ある日、複雑な関係性から疎遠となっていた母親の手紙をきっかけに、初対面のうさんくさい映画プロデューサーのダメ中年男・桜庭と1日だけ箱根旅をすることに。

監督:タナダユキ
出演:大島優子、大倉孝二、野嵜好美、窪田正孝、西牟田恵、ほか
配給:東京テアトル
1時間37分
シネ・リーブル梅田ほかで上映
http://movie-romance.com
© 2015 東映ビデオ

「大島さんがキメ顔ばかりだと嫌だなと思ったら・・・」

──今回の企画はどういったところから立ち上がってきたのですか?

プロデューサーの佐藤(現)さんが「大島さん主演で企画を出しませんか」と誘ってくださったんです。私も以前から大島さんに興味があったので、二つ返事で「やります」ってお答えしました。

──脚本協力に向井康介さんの名前があります。

『ふがいない僕は空を見た』で脚本を書いてもらった向井さんも大島さんのファンだと知っていたので、黙って彼女と仕事をして、あとで「ずるい」と言われるのも嫌だったので協力をお願いしたんです(笑)。そのとき向井さんは文化庁の海外研修制度で北京に行っていて、「脚本を書くことはできないけれども、こういうのはどうかな」ってプロット(物語の要約)を提案してくれました。それが特急電車で車内販売をするアテンダントの女性が、ちょっと胡散くさい映画プロデューサーと旅をする話だったんです。

──主役の2人の職業もその時点で想定されていたんですね。

そうです。物語の骨子はもうほとんどできていました。ただ、向井さんのプロットでは日帰り旅行だったので、少し肉づけして一泊する話にしたんです。

──大島さんを電車のアテンダントにするアイデアは、監督としてはどう思われましたか?

いいなと思いました。大島さんなら、もちろん飛行機のキャビン・アテンダントの制服も似合うだろうし可愛いだろうなとは思いましたが、電車のアテンダントさんの方がわたしたちに近い気がして、いまの大島さんに演じてもらうならこっちの方が面白いかなって。

──たしかにそうですね。なんとなく庶民的で、僕らもそういう大島さんの方が観たいです(笑)。大島さん側から問題にされるようなこともなかったですか。

プロットの段階で事務所には企画を通していましたが、注文のようなことはまったく言われませんでした。AKB48を卒業し、これからは女優として仕事をしていくという彼女のはっきりとした気持ちがあったのだと思います。そのことは撮影に入ってからも感じました。

──それは、どういったことからですか?

いまは、5歳ぐらいの女の子でも、どの角度からどういう撮られ方をしたら、自分が一番可愛く写るか知っている時代だと思うんです。ましてや国民的アイドルだった大島さんは、そういうことも訓練されてきたはず。だから、もしもキメ顔ばかりでこられたら嫌だな、なんて思っていたのですが、キメ顔どころか、彼女はカメラの前でまったく無防備で自然な顔を見せてくれるんです。どんな風にでも撮ってください、おまかせしますっていう感じで。いいんですか? そんな顔してって、こちらがあわててしまうくらい(笑)。

──なるほど、アイドルではなく女優さんですね。演技はもちろんしているわけだけれど、飾らない表情を見せているということでは、この映画にはまさにいまの大島優子が捉えられていると言っていいかもしれませんね。

そうですね。表情もほんとに豊かで、そのひとつひとつがやっぱり魅力的なんです。アテンダントの仕事も本番までに自分のものにしてくれていて。車内販売のワゴンって、実はかなり重くて扱いが難しいんです。プロの人に指導してもらったんですが、彼女はコツをつかむのが早くて、指導してくださった方も驚いていました。おそらく、私たちの知らないところでかなり練習してくれていたのだと思います。

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