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Check Clip to Evernote 2011.01.19up

ウワサの元町映画館には、もう行った?

大阪の老舗・梅田ピカデリーが30年の歴史に幕を下ろすなど、映画館閉館の波が日本中に広がりつつある中、昨年に舞い込んだうれしいニュース! 関西では久々の実現となる、アート系ミニシアターの誕生。しかも商店街の一角という親しみやすい立地で! オープンから5カ月、じわじわとファンを増やす小さな映画館の魅力を探りました。

行く前にちょっと予習しとく?

JR・阪神元町駅から、商店街のアーケードに沿ってテクテク。海文堂書店が建つ三番街を抜け、四番街の入口まで。

商店街の交差点の右手に、仏具店・浜屋の壁に掲げられた、大きな神戸の地図看板が見えたら、映画館はもうすぐそこ。

映画館前に到着! ビルの入口は小さいけれど、映画ポスターやチラシがぎっしり飾られているから結構目立っています。

神戸を代表するモチーフ、六甲山とポートタワーをあしらったロゴは、スタッフの友人がデザインしたものとか。

館前の机にずらりと陳列されたチラシたち。買い出し途中のおばちゃん集団も思わず見入る、驚異の吸引力たるや!

黒板に手書きされた本日の上映スケジュールを発見。まるでカフェみたいなノリに、思わず和むこの手作り感。

サービスデーの手書き看板もかわいい。こちらは、映画館チラシの挿絵も手がけるイラストレーター朝野恵子さん作。

ドアを開ければスタッフがお出迎え。手描きイラスト入りの整理券やスタンプカードなど、細部にも注目してみて。

ロビーは約4畳ほどのごく小さな空間。イスに座って、これから観る映画への期待を、静かに膨らませましょう。

ロビーの壁には、次回上映作品のポスターなどとともに、元町映画館を愛するファンからの温かい寄せ書きも。

いざ劇場内へ。入ってびっくり、意外な広さ! 前列との間隔も広いので、足を伸ばしてゆったりと映画を楽しめます。

こちらは劇場後方の映写室の様子。映写技師は2人。ここで毎日、映画館渾身のセレクト作品の上映を重ねている。

新しい映画館のカタチ、ここから

果物店、婦人服店、喫茶店・・・そして映画館。この楽しいごちゃまぜ感も商店街ならでは。

2010年8月にオープンした元町映画館。“いかにも映画館”なオオゲサさはなく、庶民的な店が建ち並ぶ元町商店街にしっくりとなじんでいる。古本屋やレコード店のワゴンセールにフラッと吸い込まれるような、良い意味での敷居の低さが地元に定着。行き交う人は十中八九、足を止めて入口に並ぶ作品チラシを手に取り、ドア越しに中の様子をチラリ・・・ってなにぎわい(映画館前に20人以上の人だかりができることも!)。これまでは「目当ての作品を観るために足を運ぶ」という“第一目的”として映画館は存在していたけれど、ここは「買い物ついでに立ち寄る」といった“ついで感覚”で気軽に訪れることができる。開館からまだ5カ月、元町映画館は映画発信基地として、独自のスタイルを確立しつつある。

神戸と映画、愛するもののために

館内にはカンパを募る箱も。元町の映画文化は、こうやって皆の心で支えられている。

きっかけは「開業するなら、病院より映画館!」というほど映画好きの、神戸出身のお医者さんの発案。商店街に建つ小さなビルを買い取って、そこに「神戸の映画文化のためなら」と、映画愛好団体・神戸映画サークル協議会の面々などが支援に集った。少ない予算の中、内装などこつこつ手作りで完成。従業員は3人のみ、その他20人以上のボランティアによって運営されている。「人と人との繋がりを大切にし、映画を観る楽しみをみんなで感じたい」と支配人。来場者とスタッフの間で映画や設備にまつわるやりとりが気軽に交わされ、互いに教え合うことで双方の“映画力”の向上へと結びついている。まさに皆による、皆のための映画館だ。

間違いなくイイ映画が待っている!?

上映予定作のチラシを見るだけでもこのカラフルさ! 作品の多種多様っぷりが伺える。

オープン時は『狙った恋の落とし方。』と『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』で開幕し、その後も『エル・トポ』『スプリング・フィーバー』など、上映作のチョイスは、アート好き・映画ツウも唸らせる冴えっぷり! 新旧洋邦、メジャーからインディーズまで分け隔てなく公開する。ヒットが確約されるような話題作であっても、映画的に見て評価できない作品はラインアップに加えない心意気。年配から若者まで、全世代が心から楽しめる映画を見極めて上映する。これが“街の映画館”としてのこだわりだ。

タブー続出? 講演会はライブだ!?

トークショーや講演付きの上映が多いのもコチラの特徴。『ザ・コーヴ』『靖国 YASUKUNI』など、一方的な目線で作られた映画が物議を醸している昨今、そういった「観る人に誤解を与えかねない作品」については、研究者などを招いてきちんと補足、補正を行うようにしている。オセロの松嶋尚美と映画評論家の町山智浩の番組から派生した『リアル!未公開映画祭』(3月19日~4月1日上映)も、上映作品9本中、なんと5本で講演を予定。「単に映画を観るだけでは、まちがったメッセージも鵜呑みにしてしまう危険性がある。正しく物事を判断するために、解説は絶対必要。また、そういった講演会では、得てしてテレビや新聞では規制がかかるような“裏話”が飛び出すことも多い。その日、その場でしか聞けない、このライブ感を楽しんでほしい!(支配人)」

モトマチセレクションが始まった!

スタッフが「これはゼッタイ観逃してほしくない!」という旧作をピックアップし、期間限定で上映する企画「モトマチセレクション」。その第1弾、韓国映画の『息もできない』が、今年1月15日より上映をスタートしたばかりだ。同作は先日発表された、映画雑誌の権威『キネマ旬報』が選ぶ2010年度外国語映画ベストテンでも、第1位に選出された大傑作。第1弾からさっそく“モトセレ”の嗅覚の鋭さを証明する形となった。第2弾以降の日程や作品は未定だが、構想は膨大にあるとのことで、そのセレクションセンスから今後も目が離せない!

モトマチセレクション第1弾はコレ!

『息もできない』
上映中~2月4日(金)

韓国から登場したパワフルな新鋭、ヤン・イクチュンの監督・主演作。海外の映画祭で絶賛され、数々の賞に輝いた。情け容赦ない借金取りの男が、偶然出会った女子高生とともに過ごすうち、荒んだ心にひとときの平穏を得るが・・・。人を殴ることでしか自分の想いを伝えられない不器用なチンピラの魂が、拳を振るうたびにむせび泣く! 暴力の連鎖を描いた、韓国版『グラン・トリノ』。

取材・文/田辺ユウキ

Theater Data

元町映画館

住所:神戸市中央区元町通4丁目1-12
TEL:078-366-2636
定休日:無休
座席数:66席
URL:http://www.motoei.com

今後の上映作品、この2作品を観逃すな!

©ABKCO Films. All rights reserved.

『ホーリーマウンテン』

1月22日(土)~2月4日(金)上映
『エル・トポ』で人気を博したカルトのパイオニア、アレハンドロ・ホドロフスキー監督作。不死の術を手に入れるため聖なる山を目指す9人の男女が、奇妙奇天烈な精神修行に身を投じる物語。巨漢の集団、カエルのサーカスなど強烈な場面の連発に圧倒される !

All Jean-Michel Basquiat works© Estate of Jean-Michel Basquiat. Used by Permission. Licensed by Artester, New York

『バスキアのすべて』

2月5日(土)~25日(金)上映
早逝の天才画家・バスキアが、アンディ・ウォーホールと親密関係にあったのは周知の通り。本作ではヴィンセント・ギャロとのバンド活動やマドンナとの関係など、お蔵入りしていた映像も大放出! '80年代NYのアートシーンを失踪したバスキアの素顔に、友人である監督が迫る。

ほかにも…話題作ゾクゾク!

『エル・トポ』(上映中~1月21日)、『彼とわたしの漂流日記』(上映中~1月21日)、『弁護士 布施辰治』(1月22日~28日)、『帰還証言 ラーゲリから帰ったオールドボーイたち』(1月29日~2月4日 ※1月30日のみ休映)、『別れの曲』(2月5日~11日)、『リッキー』(2月12日~3月11日)、『君を想って海をゆく』(2月26日~3月18日)、『世界のどこにでもある、場所』(3月12日~)、『リアル!未公開映画祭』(3月19日~4月1日)など

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