【光る君へ】兼家にふさわしい末路、段田安則が衝撃の退場

2024.4.13 18:30

『光る君へ』第14回より、東三条殿の庭で、夜空を見上げる藤原兼家(段田安則)(C)NHK

(写真10枚)

吉高由里子主演で、日本最古の女流長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。4月7日放送の第14回『星落ちてなお』では、道長の父・藤原兼家が逝去。まさに「巨星墜つ」となったその死の背景と、息子たちの激しい明暗の分かれ具合に、衝撃が走った(以下、ネタバレあり)。

■ 第14回「星落ちてなお」あらすじ

摂政から関白になった藤原兼家(段田安則)は出家を決意し、後継に長男・道隆(井浦新)を指名する。次男・道兼(玉置玲央)はそれに強く反発し「とっとと死ね!」と言って去っていく。兼家は出家するが、藤原道長(柄本佑)の妻・源明子(瀧内公美)は、兼家の呪詛を止めなかった。激しい雨が降った翌朝、道長は邸宅の庭で、兼家が死んでいるのを発見。その亡骸を抱きしめて嗚咽する。

『光る君へ』第14回より、邸宅の庭で兼家(段田安則)が死んでいるのを発見した道長(柄本佑)(C)NHK
『光る君へ』第14回より、邸宅の庭で兼家(段田安則)が死んでいるのを発見した道長(柄本佑)(C)NHK

兼家を継いで摂政となった道隆は、息子・伊周(三浦翔平)を一足飛びで出世させたり、一条天皇(柊木陽太)に嫁いだ娘・定子(高畑充希)を、前例のない形で中宮にしようと画策。兄のやり方に疑問を持ち、それよりも検非違使の改革を進めようとする道長だったが、道隆は聞く耳を持たず、自分の命に従うよう言いはなつ。やがて道隆の思惑通り定子は中宮となり、道隆の専制政治がはじまった。

■ 兼家という男にふさわしい末路

先週で退場フラグが立ってしまった、平安時代を代表する剛腕政治家のひとり・藤原兼家。その強引さゆえに周囲からの恨みも多く、特に道長の妻・明子は、父を追い落とした兼家を呪詛するために道長と結婚したほど。そんな男が畳の上で平穏に死ねるのだろうか? と思っていたら、この第14回では、想像以上にヘヴィな、そして「平安時代だなあ」と感心するような最期を迎えた。

『光る君へ』第14回より、荒れすさんだ道兼(玉置玲央)(C)NHK
『光る君へ』第14回より、荒れすさんだ道兼(玉置玲央)(C)NHK

まず兼家に大きな恨みをぶつけたのは、兼家の命令で、家の汚れ仕事を一手に引き受けていた道兼だ。父とはある意味特別な関係ではあったが、まさかあそこまで本気で「後継は自分だ」と考えていたとは思わなかった。さらに、どうも関係が微妙だった妻と娘も去るというダブルパンチで、家も心もすっかり荒み切ってしまった。特に家のなかをネズミがチョロチョロするとか、これほどインパクトのある荒廃の見せ方、今まであっただろうか?

そして兼家からまんまと扇をゲットし、懐妊中にも関わらず呪詛に励んだ明子女王。扇を支えていた台をぶち壊すほどの念を飛ばしたおかげか(ちなみに台が壊れた瞬間、その過剰な演出にSNSでは『笑った』という投稿多数)、兼家は赤い月のなかに、なにか恐ろしいものを見たかのような表情を浮かべたのち、翌朝庭で冷たくなって発見された。

『光る君へ』第14回より、扇を支えていた台をぶち壊すほどの念を飛ばした明子(瀧内公美)(C)NHK
『光る君へ』第14回より、扇を支えていた台をぶち壊すほどの念を飛ばした明子(瀧内公美)(C)NHK

これは呪詛が効いたのか? それとも普通に寿命が尽きたのか?「人を呪わば穴二つ」という言葉に沿ったかのように、明子の子が流産したことを考えると、呪詛説の方を取りたくなってしまう。これも呪詛というものが、武力と同じぐらい人を傷つけるのに有効と考えられた、この時代ならではの・・・特にその力を借りてのし上がることができた、兼家という男にふさわしい末路だったと言えるだろう。

■ 2人のつながりを象徴する美しいシーン

そんな兼家が、前回道長に遺言のように告げた「政とは家の存続であり、その考えを引き継げる者こそ、わしの後継」という言葉。兼家の後継者となった道隆は、その言葉を聞いたはずがないのに、権力を握ると真っ先に、まだ10代の息子を蔵人頭に大抜擢。「家の存続」への、大きな一歩を踏み出した。兼家は、見事に自分の政治思想を正しく受け継いだ人間に、後継を託していたというわけだ。

『光る君へ』第14回より、摂政となった道隆(C)NHK
『光る君へ』第14回より、摂政となった道隆(井浦新)(C)NHK

しかし、まひろと「この世の中を変える」と約束し、亡き友人・直秀(毎熊克哉)の無念を胸に刻んだ道長が、この兄のやり方に「はいそうですね」と乗れるはずがなかった。直秀を死に追いやった検非違使の改革を、しっかりと兄に進言。この道長の仕事ぶりには、まだ直秀ロスを引きずる人々(筆者含む)から「直秀のこと、ちゃんと考えてくれていた!」と、SNSで感激の言葉が上がっていた。

「庶民に文字を教える」という志を当の庶民から否定されたまひろと、「自分は何もできていない」と焦る道長が同じ月を眺めている姿。若者の挫折の哀愁とともに、今もなお2人の思いが通じていることを象徴するような美しいシーンだった。しかし道隆は、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)に「(兼家の)次なる者も長くはあるまい」と不吉過ぎる予言をされているので、少なくとも道長くんはもう少し辛抱すれば希望が開けるかもしれない。

『光る君へ』第14回より、月を眺めるまひろ(吉高由里子)(C)NHK
『光る君へ』第14回より、月を眺めるまひろ(吉高由里子)(C)NHK

ちなみに、兼家役の段田安則は主演舞台『リア王』の大阪公演(SkyシアターMBS)が、4月17~21日に控えている。強権的な王が、引退後にその報いを受けるという内容は、兼家と重なるところがあるので、その演技力の凄みをぜひ生で味わってほしい。また道兼役の玉置玲央も、リア王と敵対するエドマンド役で出演。玉置が段田を追い詰めていくシーンは、まるで道兼が兼家に復讐しているように見えてしまうかも・・・。

『光る君へ』はNHK総合で日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。4月14日放送の第15回『おごれる者たち』では、藤原道隆の独裁政治が加速していく様と、まひろが妹分・さわ(野村麻純)と石山寺詣に行くところが描かれる。

文/吉永美和子

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