『Meets』編集部の余談。

ギョーザの古屋京都移転日記。第9回

2020.7.13 10:54

カテゴリ:コラム

1988年創業。
味噌ダレ自慢の神戸餃子といえば!な[餃子専門店 古屋]が、
コロナの影響がいよいよ全国へと波及し始めた3月末、
神戸・元町の店を閉めて、京都へ移転するというではないか。
奇しくもその頃、ミーツは『京都特集』の取材真っ直中。
そこで、店主・古屋泰三さんの京都引っ越し~開店までを追う、
酒と涙にまみれた、期間限定の来京日記。

書いた人=古屋泰三さん
[餃子専門店 古屋]店主。今春、元町の自店も塩屋の自宅もたたんで、勢いで憧れの地・京都へ。趣味はサーフィン。この連載と並行して、HPでもコラムを執筆中。
www.gyoza-furuya.com/index.html


6月18日(木)

京都に移転して、長年神戸の店で知り合ったお客さんとの縁がなくなった事実があるけど、
それでもこれから先も繋がっていくお客さんもいてくれてる。
これ以上嬉しいことはないよな。そもそも、お店の評価を点数で表すなんて意味がわからない。
やはりお店とお客さんはお互い大切にしていきたいと言う気持ちが一番やと思う。

先日、神戸から馴染みのファミリーがわざわざ車を飛ばして店に来てくれた。
店は狭いから貸し切りになる。ワイワイ喋りながらギョーザを焼いた。楽しかった。
そのファミリーの親分と神戸の話になり、
「神戸に帰ったら、必ず[イスズベーカリー]のハードトーストと
[老詳記]の豚まんを買って帰るねん」と何気に話したら、
親分が「泰三君、見て」と鞄の中からまさかのハードトーストと豚まんが出てきた。
「まるでミスターマリックやんか!」と盛り上がった。
「泰三君のブログを読んで、泰三君これなら喜ぶな」と買ってきてくれたのだ。
マジで半泣き。嬉しかった。樋口会長、ありがとうです!

6月23日(火) 

午前中は家の掃除をして、
昼過ぎに高瀬川沿いのカフェで珈琲を飲みながらゆっくりした時間を楽しみ、
[サウナの梅湯]に行きサッパリさせて、 
蛸薬師の割烹[蛸八]でマグロの刺し身や焼き穴子や小芋揚げや鱧やホンマに美味しい卵豆腐いただき、
四条河原町の大好きなバルでクールな音楽を聞きながらジントニック飲んで、解散した。
京都移転を決意する前から、京都に来たら必ず寄っていたバル。
まさか、このバルから徒歩10分の所に住むことになるとはなぁ。
ほんまに人生何がおきるかわからん。

11時頃、帰宅。
 それからまた[サウナの梅湯]に行く。家の前に銭湯がある暮らし。
幸せと同時にこの暮らしを導いてくれたバッキーさんに感謝を忘れない。

7月3日(金)

6月1日に四条河原町裏[しのぶ会館]2階の8席の店舗で人生5度目の開店をして、1カ月が過ぎた。
未開の土地で知らない街。知り合いが4人しかいない京都で始めた。
ある程度の売り上げは予想していたが、フタを開ければその倍の売り上げがずーっと続いてる。
久しぶりの、15年ぶりの黒字経営だ。どれほど嬉しいか。
しかし商売は一寸先は闇。落とし穴はそこら中に隠されているのは百も承知。
ただ、少しだけ喜ばさせてくれ。
知り合いも少しずつ、常連さんも少しずつ増えた。餃子の反響もいい。
お客さんがインスタに載せてくれて、その枝がさらに広がって、最高のスタート。
でも、その全てのきっかけはバッキーさんのおかげ。
ロマン(バッキーさんの息子さん)のおかげ。
[楽庵]の大将のおかげ。
四条河原町裏の物件でないと、この結果はないことは断言出来る。



京都の暮らしも慣れてきた。毎晩大好きな銭湯に行ける幸せたるや。

さあ、2カ月目が始まった。
毎晩、餃子の味見をしている。
俺の舌が間違えてなかったらこの餃子なら大丈夫。
この20年ほど頑張ってきた結果がようやく実り出した。
食べ物や酒の味を教えてくれた母に、本当に感謝している。
この舌を鍛えてくれた母に恩返ししないといけない。
母がいなければ、京都で餃子を焼いていない。

満月を見ると、母に感謝するようになった。


◎ギョーザの古屋の記事はこちら
https://www.lmagazine.jp/meets/

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MeetsRegional編集室 1989年創刊以来(今年で31年目突入!)、関西の街をフォーカスし続けるリージョナル・マガジン。編集部員をはじめ、誌面に携わるさまざまなスタッフが自分の足で探してきた店や人、モノやコトを、私感たっぷりにご紹介。街や酒場の“ゴキゲン”を言い訳に、どうにも飲める(飲み過ぎる)スタッフ多め。現在、「WE♥酒場」をキャッチフレーズに、酒場にまつわるエトセトラを12カ月連続で特集中。毎月1日発売。

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