タナダユキ監督「どうしてもハッピーエンドにいけないんです」
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助産院を営む母子家庭で育った高校生と、不妊治療に悩むコスプレ主婦・里美を中心に、「性」と「生」を真正面から描いた窪美澄の小説『ふがいない僕は空を見た』。第24回山本周五郎賞を受賞した小説を原作に、『百万円と苦虫女』、『俺たちに明日はないッス』(共に2008年)など、話題作を撮り続けてきたタナダユキ監督により映画化される。
登場人物がそれぞれ心の闇を抱え、誰も幸せでない原作と、「痛みを抱えた映画」と言えば・・・のタナダユキ監督。約30社からの映画化オファーが作者であるの窪美澄もとに届いていたが、最終的な決め手は「タナダユキ監督が撮る」ということだったらしい。
写真/バンリ
「どうしてもハッピーエンドにいけないんです」(タナダユキ)
「すでに原作を読んでいたところに、たまたまお話をもらったんです。でも、映画化の権利が取れた状態ではなくて、原作権を取るところから一緒にやりませんか? というお話だったんです。いろんなところからオファーは来てるだろうと思ってたんですが、取れなかったらそれはしょうがないかぁって。もちろん、やりたいんですけど、それとこれとは別の問題なので」
インタビュー中、タナダ監督の口から何度も聞かれる「しょうがない」という言葉。または、「ま、いいかな」。こうやって文字にしてしまうと、無気力に諦めているようにも思えるが、タナダ監督にとっては決してそうではなく、かといって、無闇なポジティブシンキングでもない。人生には解決できない問題が山積みで、それは誰もが受け入れて生きていくしか仕方がない、の「しょうがない」なのだ。それは現実逃避の対極にあるもので、タナダ作品の最大の特徴かもしれない。
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「別に乗り越えるわけじゃないんですよね。誰かが自分の問題を解決してくれるわけでもないし、どうしたら解決するかっていうこともあまりないじゃないですか。かといって、諦めたらそこで終わってしまうし。だからグルグルしてるんですけど(笑)。それでも、投げ出すわけにはいかないよねっていう、なんでしょうね。諦めているわけではないんですけど」
「なんとか一歩踏み出そうとして、じゃあ、その人たちの問題が解決しているかというと、まったく何も解決しないまま、ということでは共通しているのかな。今まで描いてきた『スネにキズを抱えたまま生きていく』みたいなことは、今回も変わってないですよね。どうしてもハッピーエンドにいけないんです。自分自身、何も解決しないまま今に至るというところがあるので」
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この映画『ふがいない僕は空を見た』は、母子家庭で育った高校生・卓巳と、アニメ好きの里美を中心に物語は進んでいく。冒頭から、コスプレ姿のまま情事に勤しむ2人だが、欲望の赴くままに・・・のそれとはまったく違う、それぞれが抱える人生の苦悩や葛藤、切なさや悲しさが透けるようなセックス。卓巳を演じる永山絢斗、里美役の田畑智子。R−18指定だけにセックスシーンが注目されがちだが、裏を返せばこの2人の体当たりの演技の素晴らしさでもある。
「田畑さんは恐ろしいくらい(笑)、ホントに素晴らしい女優さんで。撮影に入る前に、『なにか不安なことはありませんか?』って聞いたら、『なにもありません』って、軽く言ってくださって。それでずいぶんこっちも気が楽になって、永山くんと田畑さんが役を背負って生きてくれる覚悟がある以上、この2人に任せてなにが生まれるか、それをどう拾えるかってことに私は集中すればいいなって」
「セックスシーンでも品があるんですよ。私は前々から、品と色気は演出でどうこうできる問題ではないと思ってるんですけど、変な意味でいやらしいシーンにならなかったのは、2人の力が大きかったですね。演出ではどうしようもない部分なんで」
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