利休役の市川海老蔵、生誕の地で会見

2013.11.8 17:00

会見を行った田中光敏監督(左)と主演の市川海老蔵

(写真3枚)

第140回直木賞を受賞した山本兼一の小説を映画化した『利休にたずねよ』。主演の歌舞伎役者・市川海老蔵さんとメガホンをとった田中光敏監督が、利休の生誕地・堺市で記者会見をおこなった。

茶聖と称えられ、時の権力者をも畏れさせた千利休の絶対的な美意識。織田信長にさえも、「美は私が決めること」と言い切ったそれが、若かりし頃の情熱的な恋が原点だったとしたら・・・という大胆な仮説からなる『利休にたずねよ』。この映画化に際して、原作者共々「彼しか考えられなかった」という監督からの熱烈なオファーを、主演の海老蔵は1年ほど断り続けたという。

「千利休というお方は大変高いところに位置づけられ、現代もそのお家の位は高いです。茶聖 利休居士というイメージもあり、我々歌舞伎の世界とは切っても切れません。ですから、私ごときが演じていいものか、と。初代團十郎を他の方が演じるのには私も抵抗があると思いますから」(市川海老蔵)

映画『利休にたずねよ』© 2013「利休にたずねよ」製作委員会
映画『利休にたずねよ』© 2013「利休にたずねよ」製作委員会

長きにわたるラブコールの末、1年越しで出演を決めた海老蔵。やるからにはと、多忙なスケジュールの合間を縫って、シナリオの改稿にも積極的に参加。お茶の稽古にも精進したという。そして、その熱意は作品で使われている茶碗にも。撮影現場では樂吉左衛門の協力により、時価数億は下らないという初代長次郎作の黒樂茶碗「万代屋黒」などが劇中に登場。静かに迫る本物の存在感は、映画に深い余韻を与えている。

「私が本物の茶碗を使いたいとプロデューサーに注文した手前、本番で手が震えないように練習しました。感慨深く、衝撃を受けたのは、やはり長治郎の器でした。漫画の『へうげもの』でも宇宙空間の中にいると表現されてましたが、まさにそれでした。山の中で、手ですくって飲んだように、私の中ですべてが整いました。その茶碗をもったときのことを想いながら、骨董屋巡りをしています。大変ですよ(笑)」(市川海老蔵)

市川團十郎との親子共演シーン © 2013「利休にたずねよ」製作委員会
市川團十郎との親子共演シーン © 2013「利休にたずねよ」製作委員会

日本での公開を前に、『第37回モントリオール世界映画祭』では最優秀芸術貢献賞を授賞。「見終わった後に腹のなかに染み渡るような感想を持ちました。近代、こういう古風な時代劇は少ないのではないかと思います。ご覧いただけたら、ちょっと感じることができるのではないでしょうか」と締めくくった海老蔵。12月7日より「梅田ブルク7」ほかで公開される。

映画『利休にたずねよ』

2013年12月7日(土)公開
監督:田中光敏
出演:市川海老蔵、中谷美紀、市川團十郎(特別出演)、伊勢谷友介、大森南朋、ほか
配給:東映

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