期間限定、吉獣をお参りしてご利益を

2014.10.26 05:36

頭が人間で体が牛のその姿は、異様なのになぜか吉獣と呼ばれる妖怪・件(くだん)

(写真1枚)

10月24日から行われている妖怪ミイラの展示会『妖怪幻獣百物語』でひときわ異彩を放つ妖怪・件(くだん)の剥製。頭が人間で体が牛のその姿は異様なのになぜか吉獣と呼ばれ、その絵を飾ると願いが叶うというウワサを耳にし、その真意を聞いてきました。

こちらで展示されている件(くだん)の所有者は、スタジオジブリで「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」の制作に関わった作家の木原浩勝さん。尼崎市出身の木原さんは、地元で噂されていた頭が牛で体が人間の”牛女”に興味を持ち、約30年間その姿を探していたとのこと。次第に頭と体が逆の件の存在を知り、とうとう2004年に群馬県沼田市の民家にある蔵で保管されているのを見つけ譲り受けたという。

そもそも件とは人に危害を与えることはなく、生まれたら予言をしてすぐに亡くなる妖怪。その予言は必ず当たり、件は嘘をつかない、言ったことは本当になると信じられたらしい。そんな一種の信仰の対象として扱われ、娯楽的な見世物としても重宝された。名残としてこの剥製には背中だけなめされた跡があり、「見学に来た人がげん担ぎに背中を撫でていったのでしょう」と木原さん。この剥製が見つかった場所は、大きな祭りが行われる2つのエリアの真ん中に位置し、祭りの度に見世物小屋で使われていたことが伺えます。

左は件(くだん)の所有者で、作家の木原浩勝さん。
左は件(くだん)の所有者で、作家の木原浩勝さん。

その見世物小屋の翌年までのつなぎの意味も含め、ビラを撒いた催行主は「件の絵が書かれたビラを家に飾っておくと願いが叶う、運気が上がる」などと謳ったのだとか。「X線で調査したところ縫合されたあとがなかった(正確には奇形の仔牛を生まれてすぐ剥製にしたものだろう)」と木原さんが説明するとおり、間近で見れば作りものでないことがわかる正真正銘ホンモノの件。現代では絵ではなく写真を撮って携帯で持ち歩き、願いを叶えてもらいましょう。

『妖怪幻獣百物語』

日程:2014年10月24日(金)~11月30日(日)
時間:12:00~20:00(土日祝は11:00~19:00 いずれも入場は閉場の30分前まで)
会場:ナレッジキャピタル イベントラボ(グランフロント大阪北館B1)
料金:高校生以上1,000円、3歳以上600円
電話:072-990-5660(妖怪幻獣百物語事務局/10:00~17:00)

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