三池崇史監督「よくある『泣けたことを喜ぶ映画』にはできない」

2015.2.25 20:47

さだまさしが1987年に発表した楽曲「風に立つライオン」に惚れ込んだ大沢たかおが、小説化と映画化を熱望。その同名映画がいよいよ完成し、大沢たかおと石原さとみ、三池崇史監督が大阪市内で記者会見をおこなった。

三池監督といえば、バイオレンスな描写が有名。とはいえ、この映画『風に立つライオン』は、長崎大学からケニアの研修所に赴任し、現地で国際医療活動に従事した日本人医師・島田紘一郎の奮闘、心に傷を負った元少年兵との出会いなどが綴られた、壮大な感動巨編だ。この意外な組合せに、会見では三池監督に質問がとんだ。

「泣けたことを喜ぶ映画」にはできないと語った三池崇史監督
「泣けたことを喜ぶ映画」にはできないと語った三池崇史監督

「(表現したかったのは)『なにができるんだろう?』ということに対する挑戦ですよね。その答えが作品。メッセージはそこにすべてを注いでいる。我々は映画で語るのであって、それについて語るというのはどうも・・・表現しにくい。人によって感じ方も違うでしょうし」

「今は泣ける映画が、ひとつのトレンドになっていますから。でも、そういう映画で終わりたくないなって。観る側が安全地帯にいて、高みから泣いてあげる、同情してあげる。劇場を出ると、笑いながら『泣けたねー』って。そういう、よくある『泣けたことを喜ぶ映画』にはできないなって」

「『はい、みなさん。ここが(泣く)ポイントです』という物差しを、この映画はできるだけ省略しています。操作しない、見る人に感じてもらう。そして、涙というのは悲しいから出るのではなく、希望を感じたときも出るんだなって」

映画『風に立つライオン』© 2015「風に立つライオン」製作委員会
映画『風に立つライオン』© 2015「風に立つライオン」製作委員会

鑑賞の際、監督のコメントを頭の片隅において観ると、大沢たかおが自ら立ち上げた企画、そして、その想いが少し見えてくるかもしれない。

写真/本郷淳三

映画『風に立つライオン』

2015年3月14日(土)公開
原作:さだまさし(「風に立つライオン」幻冬舎文庫)
出演:大沢たかお、石原さとみ、真木よう子、ほか
配給:東宝

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本