樹木希林「河瀬直美監督はおっかない」

2015.6.9 19:00

左から、原作者・ドリアン助川、樹木希林、永瀬正敏、兼松若人、河瀬直美監督

(写真3枚)

カンヌ映画祭ではスタンディング・オベーションで迎えられた、河瀬直美監督の最新作『あん』。公開1週間で早くも動員10万人を記録する上々の滑り出し。そんななか、河瀬監督、出演の樹木希林、永瀬正敏、兼松若人、原作者のドリアン助川が、大阪市内で舞台挨拶をおこなった。

「こうなって欲しいなと思ったらそこに光が差し込んだり、自然すら味方してくれた。神様に撮らせていただいたような映画」と、奇跡に満ちた日々を振り返った河瀬監督。なかでも、徳江(樹木)が、千太郎(永瀬)の店を訪れる最後の日になるかもしれないシーンの撮影では、シナリオには指示のない「『割烹着を丁寧に畳む』という動作ですべての想いを表現しきってくれた」と樹木の演技を絶賛。永瀬も「あれは凄かったっス!」と手放しで褒めた。

映画『あん』© 2015映画「あん」製作委員会/COMME DES CINEMAS/TWENTY TWENTY VISION/ZDF-ARTE
映画『あん』© 2015映画「あん」製作委員会/COMME DES CINEMAS/TWENTY TWENTY VISION/ZDF-ARTE

しかし、樹木は照れたのか「内輪で褒めあってちゃいけません、違う話しましょう」とピシャリ。「私はそのシーンの善し悪しよりも、その後の永瀬くんとの2つのロングシーンをカットされたことが悲しかった!」とやり返すと、河瀬に「だって、割烹着のシーンが良かったから、もう、そこ要らなかったんですもん」とかわされた上、最年少の兼松にも「ちなみに今日、希林さんの割烹着の後ろを結んであげたのは永瀬さんです」と追い討ちをかけられ、「そんなの私ひとりでできますけどね!」とむくれて見せる一幕も。家族のようなチームワークを見せつけた。

家族のようなチームワークで完成した映画『あん』
家族のようなチームワークで完成した映画『あん』

今作はすでに世界40カ国での上映が決定。「南極大陸以外はすべて制覇」が発表され、万雷の拍手。そんななか、最後の挨拶を・・・と促された樹木は、「カンヌで40カ国のバイヤーに対して、河瀬さんの押しの強さはすごかった」と褒める一方、「でも、おっかないから私が旦那だったら逃げちゃう。みなさん、女として、いいところだけ真似ましょうね」と付け加えると、「確かに逃げられ続けてますね・・・」と河瀬監督。舌戦は、からくも樹木希林の勝利で締めくくられた。

取材・写真・文/hime

映画『あん』

2015年5月30日(土)公開
原作:ドリアン助川
監督:河瀬直美
出演:樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、浅田美代子、水野美紀、ほか
配給:エレファント・ハウス

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