改めてカワイイ・・・神戸で天野喜孝展

2015.6.29 20:35

天野喜孝が描く「ヤッターマン」

(写真4枚)

ヤッターマン、みなしごハッチを経て、ゲーム『ファイナルファンタジー』や装幀画『吸血鬼(ヴァンパイア)ハンター”D”』で形成された独自の線の細い妖艶なスタイルでおなじみの天野喜孝。今や海外でも”アニメ”や”マンガ”カルチャーの表現者として、世界レベルで活躍するように。

もともとアニメ畑だったこともあり、絵が動くこと・・・もちろん動かないのですが、その次の動きや空気感を感じられるような絵を次々と生み出し、独自のファンタジーな世界を確立してきました。そのため、美しいという印象の方が多い人が強いかもしれません。実際に、『ファイナルファンタジー』のイメージイラスト、小説の装幀画、神話をもとにした『飛天』シリーズなどは、この世のものではない世界を感じさせてくれます。

しかし、アニメ時代に見せた”カワイイ”は彼の中に常にあったのです。例えば、2000年代に登場した小さな野菜たちを擬人化した『N.Y SALAD ニューヨークサラダ』(こちらは映像でも楽しむことができます。ナレーションは原田知世が担当)。そして、きっと驚くのは神々の住む場所という意味を持つ仏教用語の『DEVA LOKA』シリーズ。ファイナルファンタジーに登場する、ウェアタイガー、クレイジーホースやスカルたちが入り交じる混沌とした世界が描いているのですが、アルミパネル、アクリル絵具と自動車塗料を使っているとあって、ツヤツヤでカラフルでポップ! また、かわいいアンドロイドの女の子が描かれた『Candy Girl』は、天野らしさをその表情に感じさせつつも、新たなレベルに向かったことを感じさせてくれます。

アンドロイドの女の子が描かれた「Candy Girl」
アンドロイドの女の子が描かれた「Candy Girl」

天野喜孝は記者会見で、新シリーズを描いた理由をこう語っています。「もともと僕の作品はアニメや本など、メディアを通して目にするものでした。が、個展をきっかけに実際に観てもらうことを意識し始めたんです。500年先でも退色しない、耐光性が強いものと考えたのがDEVA LOKAシリーズ。7〜12層に色を重ねて、最後は車屋さんに仕上げを頼んでいて、この輝きがあるためピントも合わず、写真撮影にも向かない、そのため生でしか味わえないものなのです。また今までと色の印象が違うかもしれないのですが、これはアニメ業界に入るきっかけとなった、セル画が美しいと思った初期衝動と同じ感覚で描いてます」。原点は変わらずとも、世界を見据え、未来に残すために進化し続ける天野喜孝の”カワイイ”をぜひ、その目でご鑑賞を!

「想像を超えた世界 天野喜孝展」

日程:2015年6月27日(土)〜8月30日(日)・月曜休(7/20開館、7/21休館)
時間:10:00〜18:00(8/30は〜15:00、最終入場は閉場30分前)
場所:兵庫県立美術館 ギャラリー棟3F
料金:一般1,200円、大学生1,000円、高校生・65歳以上600円
電話:0570-063-050(天野喜孝展 神戸事務局)

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