石原さとみが語る、兵器班長・ハンジ
「人気作だけに情報が多いから、準備時間がより濃厚になった」(石原さとみ)
── dTVドラマでは第1話の主人公がハンジで、映画版よりもハンジの内面がより深く描かれています。映画とドラマで、立ち位置の違いは当然あると思うのですが。
ううん。ドラマは、本編の映画版が終わってから撮ったんですよ。本編のときは、ホントに(ハンジ像を)探ってましたね。不安や怖さのなかで撮影してましたし。それが全部終わってからドラマの撮影だったので、ホント、好きに演じさせてもらったというか(笑)。ハンジが好きだから、このセリフを言いたいから、やらせてもらってるような。もう、かなり主観が入ってます。監督にはたくさん相談しましたね(笑)。もう、ドラマ版は漫画のまんまです。ハンジの好きな(漫画の)カットを実写化したような(笑)。
── 具体的にそのシーンは?
(捕獲した巨人の)ビーンの痛覚を確認してる最中、漫画ではないんですけど、「ビーン」って叫びたい! とか言ってセリフ足してもらったりとか。あと、涙を流すシーンがあって、涙は流れちゃうと、絵(映像)では見えないんですよ。でも、漫画を見ると流れ落ちる手前で止まってるんです。漫画って、静止画だから。だから、流れ落ちない涙を作りたいって、普通の目薬じゃない特殊なものを使ったりして。で、その振り向くシーンが漫画にあるんですけど、このコマ(一場面)をやりたいってお願いして、カメラアングルを決めてもらったりとか。自分の希望も、いくつか提案させてもらって(笑)。
── その大胆なる熱量というか、こだわった分だけ、dTVオリジナルドラマそれ自体でも充分に楽しめました。
ホントですか!? そう言ってもらえたら、すごくうれしいです。
── そんな石原ハンジを象徴するシーンのひとつとして、前篇の予告編でも話題となった名台詞「こんなの初めて!」もかなり印象的でしたが、今回、石原さんだけ役どころというか、ちょっとコメディエンヌ的な役割を求められていたと思うんですね。そのあたり、樋口監督とお話はされたりしましたか?
はい、たくさんしましたね。自分の立ち位置というか、任せられている役回りみたいなものは言われました。だけど、笑わせるためにいる役じゃない、そこはやっぱり違うと。この人は変だな、とか、何しでかすんだろう、とか、この人が出てきたら違う空気になる、とか。そういう風にハンジを演じられたらなって。なぜかと言うと、ハンジとみんなの巨人に対する見方が違うから、みんなと違う空気になるんです。心の問題、性格が違うからそうなる。演じるなかで、それが伝わればいいなって。なので、あんまりコミカル担当というのを背負わずにやりました。
── 役どころとしては難しいですよね。
そうですね。樋口監督を中心に、スタッフさんとたくさん話し合った現場だった気がします。
── 役作りとしても難しさ、キャラクターを作っていくという部分で、これまで演じられてきた作品と比べて、どうでした?
う~ん、作り上げる感覚は似てるんですけど、だけど、やっぱり人気作だけあって情報が多いから、準備する時間がより濃厚になった気がしますね。原作ありきの作品では、たぶんアプローチは似てると思うんですけど、人気作だからこそアプローチしやすかったというか。さっきも言ったようにファンの方の意見があるから、取り組みやすかったですね。
── やっぱり面白いですか? ネット上のいろんな人の意見って。
原作やアニメの感想を見るのはすごく参考になりましたね。
── 実際、公開された後、ネット上でもハンジのハマりっぷりは相当話題になっていますが、役作りであったり、撮影を振り返ってみて、その感想をどう捉えてますか。
すごく情熱を捧げた作品だったから、評価していただけるのは、すごくうれしいです。完成したものを初めて観たとき、日本映画の力というか、それを作り上げた樋口監督をはじめ、スタッフのみなさんは本当にすごいと思いましたし、その作品に参加できたことが本当にうれしかった。やっぱり、あのスピード感や圧倒されるような映像って、日本映画では観たことないから、やっぱりそこには注目して欲しいなって思いますね。
── そんななか、まもなく後篇が公開されます。石原さんが印象に残っているシーンとかありますか?
巨人の戦いぶりですかね。やっぱり私は巨人がメインだと思うので、バトルのシーンはすごく迫力あるし、ワクワクするし。そのあたりはぜひ観てもらいたいです。あと、どこでハンジ出てくるんだってところにも注目して、観て欲しいかな(笑)。
── 当然ですが、後篇も注目ですね。
新しい『進撃の巨人』として、諫山さんが伝えたかったものも後篇に詰まっていると思うので、前篇を見た方は必ず後篇をみて、自分なりの答えを導き出して欲しいです。
映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』
2015年9月19日(土)公開
監督:樋口真嗣 特撮監督:尾上克郎
出演:三浦春馬、長谷川博己、水原希子、本郷奏多、石原さとみ、ほか
配給:東宝 PG12
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