「今に沿った青春映画」大根仁監督が撮る文化系バディムービー

2015.10.2 12:00

大根監督を取材現場を覗く、佐藤健と神木隆之介

(写真4枚)

「2人と『ギャフンと言わせようぜ!』って」(大根仁)

──そして、同じ高校生ながら、天才漫画家としてジャンプ編集部も期待を寄せる、染谷将太さん演じる新妻エイジ。彼の存在が、サイコー、シュージンにとって、とてつもない起爆剤になっていますね。

原作の新妻エイジはライバルとして分かりやすい立ち位置にいましたが、映画化の際、早々にキャラクター構造を変えました。ライバルでもあり、仲間でもある。サイコー、シュージンにとって新妻エイジは、ラスボス(最後に登場するボス)ではなく、同じ条件のなかで、『週間少年ジャンプ』で毎週連載をやっている、いわば同志。実際に、週刊連載をしている漫画家さんたちにはそういう連帯感があるのではないでしょうか。

──あと、ロックバンド・サカナクションが手がけたサウンドトラックも、サイコー、シュージンたちがステップアップしていく様をとらえていて、心躍りました。

サカナクションは、ライブや普段の活動を見ていても、分かりやすい喜怒哀楽の表現ではなく、表向きは非常に渇いたものがあり、そして内包されているものが熱い。それがサイコー、シュージンの感じとよく似ている。サカナクションであれば、ふたりの気持ちを代弁できると思いました。映画自体の空気を作る上で、大事な役割。「脚本を読んで、思った気持ちを曲に出してくれ」とお願いしました。

左から、神木隆之介、大根仁監督、佐藤健

──そして、何と言ってもサイコー、シュージンをいきいきと演じた、佐藤健さん、神木隆之介さんの存在。ただ、キャスティングが発表されたとき、ツイッター上では「サイコーが神木、シュージンが佐藤じゃないか」という声が続出しましたよね。僕は原作至上主義ではないし、映画は映画としての魅力があると思っているので、そういう声って「どうなんだろう?」と思います。

とか言いながら、周りと一緒に「逆じゃないのか!」とツイートしていたんじゃないですか(笑)。でも、そういう声があがるのは当然だと思っています。インターネットが普及して以降、特に原作モノに関してはそういう風に言われるようになったけど、それだけ漫画の影響力が大きいということですから。僕も「え、これを実写映画化するのかよ」と言ってしまいますし。それだけ人気があって、原作のビジュアルイメージが世に浸透しているのだから、まあ、しょうがないですね。

真城最高(佐藤健)と高木秋人(神木隆之介) © 2015 映画「バクマン。」製作委員会

──ただ、ツイッターでは大根監督もスニーカーを右、左、逆に履いた写真を投稿して、そういう声を挑発していましたが。

挑発ではないけど、「うるせえなあ」と思ってやりました。正直、「ここまで言われるとは・・・」と思いましたから。でも、それで火がついたところはあります。クランクインのときにキャスト発表がニュースで流れて、撮影現場で僕らは反応を見ていた。そこで「逆だ!」とかいろいろ書かれていたから、佐藤くん、神木くんと「ギャフンと言わせようぜ!」と話していました。

だから、火をつけてもらって、ありがたかったですよ。あれで間違いなくモチベーションがあがりましたし、そのテンションが映画として、そして佐藤くん、神木くん、2人のお芝居に表れていると思うので、ぜひそういったところも期待して観て欲しいですね。

映画『バクマン。』

2015年10月3日(土)公開
監督・脚本:大根仁
出演:佐藤健、神木隆之介、染谷将太、小松菜奈、ほか
配給:東宝

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