伊賀で33年ぶり御開帳、アート展も

2015.11.4 16:44

観菩提寺正月堂外観

(写真3枚)

京都と三重の県境、三重県伊賀市島ヶ原にある「観菩提寺正月堂」にて、秘仏十一面観世音像が33年ぶりに公開された。

観菩提寺は奈良時代の創建という古刹で、白洲正子も愛した「十一面観世音像」(平安初期作)は33年に1度公開されるという秘仏。1999年、屋根葺き替えの際に特別公開されましたが、正式には1982年以来となり、全国から多くの参拝者が訪れています。

また、境内の客殿では地元の若者らで構成された「蜜の木」によるアートプロジェクト『kiseki -キセキ-』も同時開催。20代が中心のプロジェクトメンバーは、過疎化などによって失われていってしまう村のあり方を議論し、今回、村外のクリエイターや研究者を招いて展覧会とシンポジウムを企画したという。

『kiseki -キセキ-』の展示風景
『kiseki -キセキ-』の展示風景

展示には「蜜の木」メンバーのほか、京都より美術家の髙橋耕平、村田宗一郎、写真家の鈴木崇らが参加。村に伝わる御詠歌について村の人にインタビューをした髙橋耕平作品「となえたてまつる」では、前々回(66年前)の逸話が話されるなど、村の歴史を発掘・アーカイブするドキュメンタリータッチの映像作品が印象的です。

プロジェクトを主宰する岩名泰岳さん(同地区のアトリエにて)
プロジェクトを主宰する岩名泰岳さん(同地区のアトリエにて)

「蜜の木」の主宰者で美術家の岩名泰岳さんは、芸大を卒業後、ドイツに留学。帰国後、自身が育った島ヶ原で美術家として活動しながら、2013年に「蜜の木」の活動をスタート。これまでに勉強会やレクチャーなどを開催してきました。「これまでは、地域のことは行政が考えたことがすべてだったんですが、そこからこぼれ落ちてしまうものを考えるのがアートの役割ではないかと考えているんです」と話します。

美術評論家や美術館学芸員などを招いたシンポジウム(11月7日開催)のほか、村の未来についてのトークショーもおこなわれる予定。次の世代を担う若者たちが考える自主的な活動は、これからのコミュニティのあり方を考える上でも重要な試みとなりそうです。

取材・文・写真/松永大地

観菩提寺正月堂イベント情報

『秘仏本尊十一面観世音像 御開帳』
期間:2015年11月1日(日)〜11月8日(日)・9:30〜16:00
会場:観菩提寺正月堂 客殿(三重県伊賀市島ヶ原1349)
料金:拝観料 500円
電話:0590-59-2009

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