17年ぶり名作復活、関西演劇界を再興

2015.12.12 11:50

(左から)「羽曳野の伊藤」に扮装した久保田浩、西川忠志、後藤ひろひと

(写真1枚)

映画『パコと魔法の絵本』の原作で知られる劇作家・演出家の後藤ひろひとが、17年前に書き下ろした名作『タッチャブルズ』。その舞台を復活上演することになり、吉本新喜劇の西川忠志、遊気舎座長の久保田浩とともに会見をおこなった。

オリジナルを上演した劇団・遊気舎は20年以上にわたり、主にコメディを得意としてきた大阪の劇団。特に後藤が作・演出を手がけた1990~2000年は、デタラメなギャグが満載のハイパーな舞台で全国的な人気を博した。

『タッチャブルズ』について後藤は「遊気舎が、笑わせることだけに力を入れていたピーク時の作品。関西演劇界に元気を感じないなか、やっぱり関西の演劇は面白いというものを作って、新しいものが生まれれば」と自信満々。後藤が「自分が知る中で一番すごい役者」と評する久保田は、「子どもの頃に作ってたプラモデルを、また棚の上から出してきたようなワクワク感」と久々の上演に期待をこめた。

本作は、悪徳警官たちが影の大ボス(西川)から巨額の賄賂をせしめようと企む、映画『アンタッチャブル』のパロディ。ウェルメイド風の物語に、久保田扮するクレイジーキャラ「羽曳野の伊藤」などの珍妙な人々が絡むことで生まれる、掛け算的な笑いがてんこ盛りだ。

後藤が「正直な忠志くんがすごく裏表のある役をするのは、演出しても楽しいし、俳優としての実力も私は理解している。”新喜劇の西川忠志”ではない彼を見せたい」と話すと、西川は「後藤さんはいろんな引き出しをお持ちだし、役者一人一人の持ち味を考えて作ってくださる方。どう料理していただけるか楽しみ」と語った。

最近のコメディが気持ちよく笑える草食系に偏りつつある中、時に論議を醸すようなアナーキーな世界に挑んでいた遊気舎時代の後藤。その肉食系の笑いの復活は、若い演劇人&観客たちには強烈な刺激となるだろう。この作品が、関西演劇再興の起爆剤となるか? 西川がどんな悪人に変貌するかも合わせて、大いに期待しよう。

取材・文・写真/吉永美和子

『TOUCHABLES(タッチャブルズ)』

作・演出・出演:後藤ひろひと
出演:三上市朗、川下大洋(Piper)、久保田浩(遊気舎)、西川忠志(吉本新喜劇)、ほか
日程:2016年1月29日(金)~31日(日)
会場:吹田市文化会館 メイシアター 中ホール
料金:一般3,000円、学生2,000円、当日各500円増し(全席指定)
※未就学児入場不可
電話:06-6380-2221

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