小吹隆文の週末アート、1/13〜

2016.1.13 16:36

オルラン《これが私の身体・・・、これが私のソフトウェア・・・》1993/2007年 国立国際美術館蔵 ©ADAGP,Paris, and SPDA,Tokyo,2015 C0844

(写真6枚)

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「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、現代美術とフランスの風刺画、ロックスターの写真展を紹介。

新年からハードエッジな現代美術展
『エッケ・ホモ 現代の人間像を見よ』@国立国際美術館

「エッケ・ホモ(この人を見よ)」とは、新約聖書の一場面で総督ピラトが発した有名な言葉です。本展では、「現代において人間をどのように表現するか」をテーマに、50作家の約100作品が集います。

たとえばオルランは、1990年から93年にかけて9度の整形手術パフォーマンスを行いました。ローリー・トビー・エディソンは、男性目線の女性ヌードに異議を唱えて、太った女性の裸体を肯定的に捉えた写真作品を制作。小谷元彦は、身体の欠損とその補足をテーマにした映像インスタレーションを発表しています。価値観の多様化やテクノロジーの進歩により、あるべき人間像が揺らいでいる今、本展のメッセージは多くの人の心に突き刺さるでしょう。

1月16日(土)〜3月21日(祝・月)
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今年の活躍が期待される3作家
『2kw変電所計画 いちについて [about position] [on your marks]』@2kwギャラリー、2kw58

大阪・京町堀の2kwギャラリーが年初に開催している恒例企画。

しまだそう《ASYL》アクリル、キャンバス
しまだそう《ASYL》アクリル、キャンバス

今年は、潜在意識を手掛かりにバーチャル空間を描き出す鍛冶本武志、既視感のあるイメージをコラージュのように組み合わせて不条理感が漂う空間を作り出すしまだそう、愛をテーマにした自作の物語を元に、平面作品やぬいぐるみ状の立体作品、それらを組み合わせたインスタレーションを発表する秦まりのが出展します。独自の世界観を持つ3者がそれぞれの世界をぶつけ合いながら、一つの展覧会を作り上げていく姿が楽しみです。なお、展覧会タイトルの「いちについて」には、それぞれの現在の「位置」と、新たなスタートを切るための準備姿勢「位置について」という2つの意味が掛けられています。

1月11日(月)〜23日(土)
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時空を超えた日仏風刺画の共演
『ドーミエどーみる? しりあがり寿の場合』@伊丹市立美術館

「風刺とユーモア」を収集方針の一つとする伊丹市立美術館。19世紀フランスで活躍した画家オノレ・ドーミエ(1808〜1879)の風刺画は、その最たるものです。

オノレ・ドーミエ《くたばったなラファイエット!・・・ざまあ見ろ!》1834年 伊丹市立美術館
オノレ・ドーミエ《くたばったなラファイエット!・・・ざまあ見ろ!》1834年 伊丹市立美術館

近代化と共に変貌するパリの相貌や、当時の政治家たち、世相、風俗、市民生活を、時に辛辣に、時に共感を込めて描いた彼の作品は、現在も高い評価を得ています。そんなドーミエの魅力を再考する試みとして開かれる本展では、人気漫画家・しりあがり寿(1958〜)を抜擢。ドーミエの作品約80点と、それらを元にしりあがりが制作した新作約20点が共演を果たします。昨年に起きたシャルリー・エブド襲撃事件でも取り沙汰された、フランスの風刺の伝統を知る意味でも、本展は意義深いと言えるでしょう。

1月16日(土)〜3月6日(日)
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洋楽ファンなら行くしかない!
『MUSIC LIFE presents 長谷部宏写真展 in KYOTO  ROCK STARS WILL ALWAYS LOVE JAPAN〜日本を愛したロックスター〜』@FOILギャラリー

洋楽雑誌『MUSIC LIFE』で数多くの写真を撮り続け、日本の洋楽シーンに多大な影響を与えた写真家・長谷部宏。彼は1965年に日本人で初めてザ・ビートルズの撮影を行ったことを機に、同誌でロックスターの撮影を担当。

ザ・ビートルズ ©Koh Hasebe / Shinko Music Archives
ザ・ビートルズ ©Koh Hasebe / Shinko Music Archives

ザ・ビートルズ、デヴィッド・ボウイ、ニール・ヤング、デュラン・デュラン、ボン・ジョビ、ヴァン・ヘイレン、KISS、クイーン、マドンナ、U2など、名立たるロックスターのライブや来日時の様子を撮り続けました。そんな写真の中から日本を感じさせる作品をセレクトし、写真集『ROCK STARS WILL ALWAYS LOVE JAPAN』を発刊。記念して開催される本展では、『MUSIC LIFE』の貴重な写真200点以上を展覧。一部を除いて販売も行われます。

1月15日(金)〜2月14日(日)
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