「人間」を表現した現代アート、大阪で
展覧会タイトルの「エッケ・ホモ(この人を見よ)」とは、磔刑を前にしたキリストを侮辱する民衆に向けて、総督ピラトが発した有名な言葉です。この言葉をタイトルに掲げた本展は、国立国際美術館で開催されており、第2次大戦後の現代美術が人間をどのように表現してきたかを、約100点の作品でたどります。
展覧会は3章構成です。第1章「日常の悲惨」の冒頭は、鶴岡政男、山下菊二、中村宏など昭和20年代から30年代前半の作品が異彩を放っています。それらは、戦争と敗戦により過去の常識がひっくり返ってしまった社会の中で、抑圧され、もがく人間の姿を描いたものです。
第2章「肉体のリアル」では、両足義足の女性が登場する小谷元彦の映像インスタレーションや、自身の整形手術パフォーマンスを記録したオルランの写真など、強烈なインパクトを放つ作品が連続します。価値観の多様化やテクノロジーの進化により、あるべき人間像が揺らいでいる今、これらの表現は切実さをもって観客に迫るでしょう。
第3章「不在の肖像」では、ジョージ・シーガル、アルベルト・ジャコメッティ、内藤礼、オノデラユキなどの作品が見られます。「不在」という言葉から、どこか寂しい、虚無的な印象を受けるかもしれません。しかし最後に登場するヨーゼフ・ボイスと島袋通浩の作品からは、逆境を超えて湧き上がる人間肯定のメッセージが感じられ、救われた気持ちになりました。
このようにハードな作品が多い本展ですが、「人間」というテーマは普遍的なので、身構える必要はありません。理屈っぽく考えるのではなく、自分の記憶や経験に引き寄せて鑑賞すれば、きっと深い感動が得られるはずです。
※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて
写真・文/小吹隆文(美術ライター)
『エッケ・ホモ 現代の人間像を見よ』
期間:2016年1月16日(土)〜3月21日(祝・月) 月曜休 ※3/21は開館
時間:10:00〜17:00(金曜〜19:00)※入場は閉館30分前まで
会場:国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
料金:一般900円、大学生500円、高校生以下・18歳未満・心身に障害のある方とその付添者1名無料(要証明)
電話:06-6447-4680(代表)
関連記事
あなたにオススメ
コラボPR
-
大阪クリスマスケーキまとめ2024年、百貨店から高級ホテルまで
NEW 2024.11.20 10:00 -
滋賀のホテルで優雅に、アフタヌーンティー2024年最新版
2024.11.18 14:00 -
関西から北海道旅。おすすめは大自然×ワイン×グルメ[PR]
2024.11.15 10:30 -
神戸のホテルで贅沢に、アフタヌーンティー2024年最新版
2024.11.14 14:00 -
京都のホテルで楽しむ、アフタヌーンティー2024年最新版
2024.11.14 12:00 -
インタビューまとめ【芸人編】
2024.11.12 16:30 -
ホテルで甘いものを満喫、関西スイーツビュッフェ・リスト
2024.11.12 15:00 -
ホテルで贅沢に…大阪アフタヌーンティー2024年完全版
2024.11.12 14:00 -
京都クリスマスケーキまとめ2024年、百貨店から高級ホテルまで
2024.11.12 12:00 -
大阪から行く高知のおでかけ・グルメ2024最新版
2024.11.6 15:50 -
神戸クリスマスケーキまとめ2024年、百貨店から高級ホテルまで
2024.11.5 12:00 -
大阪&京都で1カ月限定「酒祭2024」が開幕![PR]
2024.11.1 10:00 -
論争巻き起こるチキン南蛮問題、本場で徹底検証![PR]
2024.11.1 07:00 -
淡路島の観光&おでかけ&グルメスポット、2024年最新版
2024.10.31 19:45 -
スマホを落としただけなのに…本当にあった話にゾッ[PR]
2024.10.25 17:00 -
石川の旅は星野リゾートのホテルへ。伝統文化を体験[PR]
2024.10.24 09:00 -
お得に鉄道旅! 今話題の「北陸エリア」へ[PR]
2024.10.23 13:15 -
「淡路島の海」を自分の手で…旅をアートで持ち帰る[PR]
2024.10.19 08:30 -
奈良のホテルで贅沢に、アフタヌーンティー2024年最新版
2024.10.7 11:00 -
映画評論家・ミルクマン斉藤氏を悼んで インタビューまとめ
2024.9.30 08:00 -
2024年は開業ラッシュ!大阪・梅田の新商業施設まとめ
2024.9.25 11:00