花組トップ明日海りお コメディ開幕

2016.2.4 19:06

真面目なジャック。そして、ジャックが作り上げた遊び人、架空の弟アーネストを演じる明日海りお。恋人役のグウェンドレンは花乃まりあ

(写真8枚)

宝塚歌劇花組公演『Ernest in Love』が「梅田芸術劇場メインホール」で2月3日に開幕。主演は平成27年度文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞を受賞した花組トップスター・明日海りお。昨年1月に同作を東京国際フォーラムで上演、大好評を経て、同じ花組での再演となった初日をレポートする。

1960年にオフ・ブロードウェイで上演、2005年に月組が同会場で日本初上演したミュージカル。19世紀末のイギリスを舞台に、2組の男女の恋模様が陽気に展開していく。オープニング、舞台上手のオーケストラ楽団が、上から下りてきた鳥かごのようなケージですっぽり覆われ、洒落たセットと緩急ある音楽によって一気に楽しいコメディの世界へ。

明日海が演じるジャックは、架空のアーネストという弟の存在を作り上げたことから、相思相愛のグウェンドレン(花乃まりあ)とおかしな関係に。コロコロと表情を変え母性本能をくすぐるジャックは、一挙手一投足で観客を惹きつける。愛らしいヒロインかと思いきや言うことはしっかり言う、花乃グウェンドレンとのラブシーンが最高だ。終盤で明日海が普遍的なテーマを心込めて歌うナンバーがあり、「温かいギフト」をもらったような清々しい気持ちに。

ジャックの親友アルジャノン演じる芹香斗亜(役替わり)、セシリイ演じる城妃美伶(役替わり)
ジャックの親友アルジャノン演じる芹香斗亜(役替わり)、セシリイ演じる城妃美伶(役替わり)

ちなみに今回は主人公の親友アルジャノンと、その恋人セシリイ、レインが役替わりで3パターンも楽しめる。初日、ジャックの友人アルジャノンを演じた芹香斗亜は、ロンドン育ちという生粋の貴族風情を醸しながら、キュウリサンドを幸せそうに頬張る姿が愉快。ジャックとの“ちょい悪コンビ”ぶりもサマになっていて成長著しい。そして、冒頭から狂言回し的役割を担うレイン役を、スマートに演じ切った鳳月 杏がアルジャノン役も担う(2/9〜11)。芹香のレイン役にも期待大だ。妄想好きのセシリイを演じた城妃美伶はビッグナンバーで健闘。もう一人のセシリイ役、音 くり寿はまだ研2というからこちらも注目だ(2/6・7)。

ユーモラスなキャラクターから一変、フィナーレにて
ユーモラスなキャラクターから一変、フィナーレにて

今回の再演ではフィナーレがブラッシュアップされ、花組ならではの男役黒燕尾のダンスも。タンゴ調でエレガントに踊り、明日海は客席をそのまま駆け抜けて場内は一気に色めき立った。初日の挨拶で明日海は、「お客様がいらっしゃるからこそ私も全身進化できます!」と感謝。芹香は節分に因んで「笑う門には福来たる。今日笑っていただいた方には福が来たのでは!?」と話し客席を沸かせていた。

取材・文/小野寺亜紀

宝塚歌劇花組 梅田芸術劇場メインホール公演 ミュージカル『Ernest in Love』

日程:2月3日(水)~14日(日)
※時間は曜日により異なる
原作:オスカー・ワイルド
脚本・作詞:アン・クロズウエル
作曲:リー・ポクリス
会場:梅田芸術劇場メインホール
料金:S席8,800円、A席6,000円、B席3,000円 ※当日券発売(一部の公演除く)
電話:06-6377-3800

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