80年代生まれ、京都で現代版画の展覧会

2016.3.14 18:32

小野耕石《Hundred Layers of Colors》

(写真3枚)

現代の版画表現をテーマにした『第2回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ2016』が、「京都市美術館」(京都市左京区)で行われています。出展作家は1980年代生まれの若手を中心とする20名。作家の選定は推薦制をとっており、豊富な経験を持つ20名の推薦委員が1人ずつ選んでいます。また、多様化が顕著な昨今の状況に対応して、表現の幅を広くとっているのも大きな特徴です。

たとえば、小野耕石の《Hundred Layers of Colors》は、シルクスクリーンの同じ版を、色を変えながら100回以上重ね刷りしています。画面にはインクの厚みで凹凸が生じ、色彩は見る角度により玉虫色に変化します。また、金光男は蝋を引いた画面にシルクスクリーンでイメージを刷り、画面の一部を熱で溶かしています。そこには秩序と崩壊がギリギリのバランスで同居しており、刹那の美を静謐かつスタイリッシュにまとめています。

金光男の展示風景
金光男の展示風景

一方、林勇気、小出麻代、高橋耕平の作品を見た人は、「これも版画なのか?」と驚くでしょう。林はインターネットから抽出した無数の画像が爆発的に増殖していく映像作品、小出は光と鏡とお菓子の包装紙による「反射」をテーマにしたインスタレーション、高橋は会場の京都市美術館と版画史を再考する映像作品を出展しています。

林勇気(右)、小出麻代(手前)、高橋耕平(奥)の展示風景
林勇気(右)、小出麻代(手前)、高橋耕平(奥)の展示風景

このように、国内の優れた若手作家と、多彩な版画表現をまとめて体験できるのが本展の魅力です。上記以外にも、独自のコンセプトを持つ作家、巨大作品を制作する作家などがおり、版画へのイメージを鮮やかに塗り替えてくれるでしょう。

文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『第2回PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ2016』

日時:2016年3月6日(土)〜4月1日(金)9:00〜17:00 ※入館は16:30まで。 
月曜休 ※3/21開館
会場:京都市美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
料金:一般700円、大高生500円 ※中学生以下・70歳以上・障害者手帳等をご提示の方は無料(要照明)
電話:075-741-4107

※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて

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