大阪の昭和アパート、アートな物件に変身

2016.3.24 18:00

もともとは鉄工所の社員住宅だったアパート「APartMENT」(大阪市北加賀屋)

(写真6枚)

クリエイターが手掛けた、アートな賃貸物件「APartMENT(アパートメント)」が、大阪・北加賀屋に3月19日に誕生。作品に住むという感覚を体験できる斬新な物件として注目を集めている。

宿泊施設をクリエイターやアーティストがリメイクすることは増えてきたが、賃貸物件としては珍しい今回のプロジェクト。位置するのは、アートプロジェクトやイベントが多数行われている北加賀屋。「アートな実験場としての土壌がある、ここだからこその企画です」と同プロジェクトの企画を行った株式会社アートアンドクラフトの土中さん。作品となるのは、昭和42年竣工、鉄工所の元社宅。格子状の飾りとカラフルな波板、造船所の鋼矢板などを用いて改装されたアパートの外観は、住宅街ではひと際目立つ。

一見普通に見えるが実は壁がやすり! 松延総司によるアート部屋「やすりの部屋」
一見普通に見えるが実は壁がやすり! 松延総司によるアート部屋「やすりの部屋」

建築家、現代美術作家、プロダクトデザイナー、照明作家など8名のアーティストが、それぞれ2DKをリノベート。現代美術家の松延総司が手掛けた「やすりの部屋」は、壁紙が全てやすりに。賃貸では、壁を傷つけないように心がけることを逆手にとって、壁に触れるとこちらの指を「やすりがけ」されてしまうように変換している。「壁は掃除できないので、(自身がこすって)ヤスられてしまった跡も記録として楽しんでほしい」と松延さん。テクノロジーを駆使するクリエイター、ライゾマティクス・アーキテクチャーの部屋は、自動的に小型カメラで部屋の中が録画され、付帯設備であるパソコンにその映像が映し出され、保存されていく。プライベートな空間への疑問を投げかける作品となり、プログラマーの田中さん曰く「部屋を大きな脳と捉えている」とのこと。ほかにも壁一面がコンセントだらけの部屋、室内に土間を使った部屋など、アートな部屋揃いだ。

ライゾマティクス・アーキテクチャーによる部屋では、常に録画される。作品としての自分を意識して、生活することになりそうだ
ライゾマティクス・アーキテクチャーによる部屋では、常に録画される。作品としての自分を意識して、生活することになりそうだ

住宅に新しい視点を見いだし、人が住むことで作品が完成に向かうプロセスを楽しむ物件。作品を鑑賞する目線と、住むという目線で印象が違うのも面白く、一見の価値あり。次のオープンハウスは3月26日・27日となる。賃貸料は6万1,000円〜、共益費3,000円。また、今回改装されたのは同建物の北館の2階と3階のみ。今後、北館1階のプランや、隣の南棟の改装を予定しているとのこと。

参加作家:GREEN SPACE、スキーマ建築計画、電化美術×FabLab Kitakagaya、NEW LIGHT POTTERY、松延総司、松本尚、Rhizomatiks Archtecture、吉行良平と仕事

取材・文/松永大地

『APartMENTオープンハウス』

期間:2016年3月26日(土)・27日(日)
時間:14:00〜16:00  
場所:大阪市住之江区北加賀屋2-5-45
料金:入場無料(予約不要)
電話:06-6443-1350(株式会社アートアンドクラフト)

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