小吹隆文撰・週末おでかけアート、3/23〜

2016.3.23 21:55

今井祝雄《方形の時間》より 1984年 パフォーマンス/インスタレーション/動画(ビデオ)

(写真3枚)

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「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、具体美術協会の作家、静かな情景画の展覧会、茨木市のアートイベントを紹介。

 

「時間」をテーマにした名作を30年ぶりに再現
『今井祝雄 Retrospectiveー方形の時間』
@アートコートギャラリー(大阪市北区)

高校生だった1964年に初個展を開催し、日本の戦後美術を代表する具体美術協会の一員でもあった今井祝雄。彼はその後も旺盛な活動を展開し、近年は欧米で再評価が進んでいます。

「今井祝雄 Retrospective」と題したこの企画は、彼のこれまでの作品を振り返るもの。2012年と2014年に続く3度目となる今回は、「時間」をテーマに写真、映像、パフォーマンス作品を制作した1970年代以降に着目します。表題作《方形の時間》(1986年)は、製造停止となって久しいオープンリールのビデオテープと録画再生機を必要としますが、この度貴重な機材を入手でき、再現の運びとなりました。初日にパフォーマンスが行われ、その後はインスタレーション作品として展示されます。

2016年3月26日(土)〜4月23日(土)
展覧会情報はこちら

 

深い静寂と余韻に浸れる絵画展
『井上よう子展 記憶に漂う』
@ギャラリー島田(神戸市中央区)

神戸を拠点に活動する画家、井上よう子。彼女の作品の多くは、窓から陽光が差し込む室内や、屋外の情景を描いています。

井上よう子《記憶の海へ》 2016年 120号 アクリル
井上よう子《記憶の海へ》 2016年 120号 アクリル

基調色は青で、作品の多くに海が登場するのも特徴です。静けさが漂うその世界には、なぜか人の気配がなく、見る者を安らぎと不安が混ざった気分へと誘うでしょう。それはまるで、遠い昔の記憶、あるいは目覚めた瞬間に忘れてしまう夢の世界を定着させたかのようです。今回の個展では、直木賞作家・白石一文の新聞連載小説『記憶の渚にて』の挿絵全342点のうち、前半の約150点と、キャンバスサイズ120号の大作を含む新作タブロー15点が展示されています。彼女のファンと小説のファン、どちらが見ても新たな発見が得られる個展です。

2016年3月19日(土)〜3月30日(水)
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茨木市内各所に現代アート作品が点在
『HUB-IBARAKI ART COMPETITION EXHIBITION  牛島光太郎 茨木の話/言葉の眺め』
@茨木市市民総合センター、ほか(大阪府茨木市)

福岡県出身で、滋賀県の成安造形大学で学んだ後、関西で作家活動を開始、現在は福岡県を拠点に活動を行っている牛島光太郎。彼の作品は、日々の生活で出合った様々な物や言葉を駆使したもの。現実ともフィクションともつかない世界観と、濃厚な物語性が特徴となっています。

牛島光太郎《茨木の話》 ターポリンにインクジェットプリント 2016年(茨木市市民総合センターの展示風景)
牛島光太郎《茨木の話》 ターポリンにインクジェットプリント 2016年(茨木市市民総合センターの展示風景)

公募形式で選出された彼の作品が、茨木市の複数の場所で展示されている本展では、《茨木の話》と題した作品を「茨木市市民総合センター」で発表、市内の店舗や公共施設で採集した言葉を文章として紡ぎ出した作品《言葉の眺め》を市内各所で展示しています。

2016年2月15日(月)〜8月15日(月)
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牛島光太郎個展『みんなの話』
@la galerie(ラ・ガルリ・大阪府茨木市)

『HUB-IBARAKI ART COMPETITION EXHIBITION』の関連イベントとして、牛島光太郎の過去作品による個展「みんなの話」が「グランファブリック」のギャラリー(大阪府茨木市駅前)で行われており、3月26日にはトークイベントと、作品を見て歩くアートツアーも予定されています。

2016年3月17日(木)〜4月5日(火)
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