小吹隆文撰・おでかけアート、6/1〜

2016.6.1 18:00

色振袖裾模様

(写真3枚)

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「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、昭和の花嫁支度、近代大阪の日本画、英国ファッションデザイナー、ポール・スミスの展覧会を紹介します。

花嫁道具に見る、船場商人の心意気
『船場花嫁物語』
@大阪くらしの今昔館(大阪市北区)

かつて大阪・船場では、どのような婚礼が行われてきたのか。そんなユニークなテーマを掲げた展覧会が開催中です。

大阪は江戸時代以降、経済の中心地として発展しました。そして力をつけた商人たちは、武家の婚姻儀礼に倣った華やかな婚礼を行うようになります。嫁いだ娘が一生不自由しないように、着物や装身具、生活用具をあつらえて、荷物目録と共に送り出したのです。花嫁を迎える婚家では、専用の蔵を作って花嫁道具を収めました。このような風習は昭和戦前期まで続いたといいます。本展では、昭和14年に船場の商家・廣野家が調えた花嫁支度の着物、宝飾品、家具調度などを公開します。大阪の文化と船場商人の底力を知る絶好の機会です。

2016年5月28日(土)〜6月26日(日)
展覧会情報はこちら

 

知られざる大阪の名画家を再評価
『生誕140年記念 上島鳳山と大阪の画家たち ー大阪の美人画は濃い!』
@泉屋博古館(京都市左京区)

明治・大正の大阪で活躍しながら、現在は知る人ぞ知る存在の画家・上島鳳山(1875〜1920)。彼を中心に、近代大阪の画家たちを紹介しているのが本展です。

上島鳳山 六月青簾 十二月美人図より 1909年
上島鳳山 六月青簾 十二月美人図より 1909年

上島は、住友家の園遊会で揮毫(毛筆で言葉や絵を描くこと)を行うなど、当時の大阪で人気を博しましたが、後援者の求めに応じて制作することが多く、展覧会活動に熱心ではありませんでした。そのため作品が公になりにくく、経歴をたどるのも難しいため、美術史の中で埋没していったのです。上島の生誕140年を記念した本展では、代表作「十二月美人図」全12幅や未公開作品を展示するほか、彼の祖系にあたる絵師や同時代の画家たちを紹介します。約50点の作品を通して、知られざる近代日本美術史の一面をお楽しみください。

2016年5月28日(土)〜7月24日(日)
展覧会情報はこちら

 

ロンドンで絶賛された展覧会が日本へ
『ポール・スミス展  HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH』
@京都国立近代美術館(京都市左京区)

英国を代表するファッションデザイナー、ポール・スミス。伝統的な職人技と最先端のデザインを融合したその世界は、日本でも絶大な人気を誇ります。彼は現在、世界の70の国と地域で事業を展開していますが、はじまりは1970年にノッティンガムの裏通りにオープンした3メートル四方の小さな店でした。

(左)ノッティンガムの1号店にて (右)ポール・スミス
(左)ノッティンガムの1号店にて (右)ポール・スミス

ポール・スミスの人生と業績を回顧する本展では、1号店やオフィス、デザインスタジオを再現するほか、ブランドの歴代コレクション、ポール自身がコレクションした美術品や私物の数々、彼の頭に浮かぶイメージを再現した映像インスタレーションなどが展示されます。出展総数は約2800点。ファッションやデザインが好きな人にはたまらない企画です。

2016年6月4日(土)〜7月18日(祝・月)
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