小吹隆文撰・おでかけアート、6/8〜

2016.6.8 22:00

中ハシ克シゲ《丈山》2016年 撮影/福永一夫

(写真3枚)

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「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、現代彫刻、虚実が混ざり合う風景画、江口寿史の展覧会を紹介します。

 

ベテラン彫刻家の新境地を見逃すな
『中ハシ克シゲ「もっと面白くなるかもしれない。」』
@SUNABAギャラリー(大阪市浪速区)

塀に松などの典型化された日本をテーマにした金属彫刻、プラモデルのゼロ戦を接写し、原寸大に引き伸ばしてペラペラの彫刻を制作、最後は燃やしてしまう「ゼロ・プロジェクト」など、「現代の日本人にとって、彫刻とは何か?」を問い続けてきた中ハシ克シゲ。関西では約10年ぶりとなる個展が、大阪で行われています。

今回の作品は、粘土の塊を押す、ねじる、引き伸ばすなどして、半ば即興的に作られた造形物。これまでの彼の作品を知る者には意外な展開かもしれませんが、必要最小限の手数から生み出されたそれらには、フォルム、質感、量感、空間性など、彫刻のエッセンスが濃縮されています。ベテラン作家が久々に見せる新展開から目が離せません。

2016年6月4日(土)〜22日(水)
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初期から新作まで、画業を展観
『川村悦子展ーありふれた季節ー』
@西宮市大谷記念美術館(兵庫県西宮市)

蓮を描いた絵画作品で知られる川村悦子が、大規模な個展を開催します。

川村悦子《道》2012年 東京オペラシティ アートギャラリー蔵
川村悦子《道》2012年 東京オペラシティ アートギャラリー蔵

1953年に滋賀県で生まれた川村は、1980年に京都市立芸術大学西洋画専攻科を修了、1988年には安井賞を受賞するなど、克明な描写と虚実が混ざり合う作風で注目を集めました。日本人が西洋的な絵画を描くことの意味・可能性を追求してきた彼女ですが、1999年に蓮のシリーズに着手してからは活動の幅が広がり、屏風や襖絵など日本の伝統的な美意識にも関心を深めました。本展では、代表作である蓮のシリーズ、イタリア古典絵画に取材した初期作品、東洋美術への接近を試みた屏風と掛軸、身近な草花に目を向けた近作群、「ありふれた季節」と題した新作シリーズが見られます。

2016年6月11日(土)〜7月31日(日)
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これまでの仕事を一望。本人も来場
『江口寿史展 KING OF POP 京都編』
@京都国際マンガミュージアム(京都市中京区)

マンガ家、イラストレーターとして活躍する江口寿史の、38年間の画業を振り返る大展覧会。

©Eguchi Hisashi
©Eguchi Hisashi

江口といえば、初期の代表作『すすめ!!パイレーツ』と『ストップ!!ひばりくん!』で日本のギャグマンガを更新したことが知られています。同時に、頻繁に連載を落とすマンガ家として名を馳せたエピソードも。それでも現在まで人気を維持しているのは、ひとえに彼の絵がオリジナルで魅力的だから。画集『KING OF POP』(光玄社)刊行を記念した本展では、全国巡回の「江口寿史展 KING OFPOP」と、明治大学米澤記念図書館で行われた「KING OFPOP:SIDE B」の中から選りすぐった300点以上を展覧。6月11日と8月7日には本人よるイベントも行われます。

前期:2016年6月11日(土)〜7月18日(祝・月)
後期:2016年7月21日(木)〜9月4日(日)
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