2016年、映画界で注目を集めた「俳優&監督」はいったい誰?

2016.7.13 21:00

数々の映画メディアで活躍し、Lmaga.jpの映画ブレーンである評論家 ── 春岡勇二、ミルクマン斉藤、田辺ユウキの3人が大阪市内某所に集結。お題はもちろん、「2016年・上半期、ホントにおもしろかった映画はどれ?」。前編は作品を振り返りつつ、後編では「注目の俳優&監督」に絞ってトークを展開。今年、もっとも活躍が期待される俳優&監督はいったい誰に?

二階堂ふみ、菅田将暉、池松壮亮に頼りすぎの日本映画界?

──座談会・後編では、この名前がクレジットされていたら、その作品はまず観ておきたいという、個人に絞っていきたいと思います。特に活躍が目立った「俳優&監督」で印象に残っている人はいますか?

斉藤「新人が全然出てないなぁ。真利子(哲也監督)くんなんて、僕は全然新人と思ってないし」

春岡「そりゃ、新人なわけないじゃん。新人扱いになってるの?」

斉藤「今回の『ディストラクション・ベイビーズ』が、初メジャー映画ですからね」

春岡「それは認識として間違ってるし、そんな認識をしてちゃダメだよ。『イエローキッド』(2010年)を撮った人間をつかまえて、新人だなんて」

公開イベントで行われた本企画(2014年)の模様(左から、春岡勇二、ミルクマン斉藤、田辺ユウキ)
公開イベントで行われた本企画(2014年)の模様(左から、春岡勇二、ミルクマン斉藤、田辺ユウキ)

──まあ、テーマとしては新人に限らずですけど。

春岡「役者がさ、菅田将暉、二階堂ふみ、池松壮亮ばっかりでさ、偏りすぎなんだよな。3人に力があるのは分かるけど、ほかにもチャンスあげろよって」

斉藤「二階堂ふみなんて、『オオカミ少女と黒王子』なんてやる必要ないよ、ハッキリ言って。やってみたかったのかもしんないけど」

──やってみたかったんでしょうね、少女コミック原作の映画と女子高校生役。

斉藤「気持ちはわかるけど、こんな下らない風潮に加担してもらいたくないんだよなあ(笑)」

春岡「石井(岳龍監督)さんの『蜜のあわれ』とか、彼女は絶対好きだよ」

斉藤「というか(原作者の)室生犀星も読んでたっていうからさ。あれ、幻想文学好きしか知らん原作なんですよね」

田辺「僕は、全然新人じゃないけど、『セトウツミ』と『ヒメアノ〜ル』を観て、やっぱり鈴木卓爾さんはスゴイと思った」

春岡「だって、鈴木卓爾だもん(笑)」

田辺「『セトウツミ』ではただ川を見てるだけ、『ヒメアノ〜ル』では部屋を見てるだけ(笑)。だけどそこに、なにか物語性を感じるという」

春岡「スクリーンに映ってたら、そこにはもう物語があるんだから。映画というのは」

田辺「『ヒメアノ〜ル』で卓爾さんが殺されるシーンって、ベストじゃないですか?」

春岡「鈴木卓爾とかさ、出てきた瞬間、『あ、殺されるな』って思うわけじゃん。森田剛と玄関で会って、なにも気づかずにまた出て行くというのがあってもいいんだけど、でも、やっぱり殺されると、そうだよねって安心感がある(笑)」

斉藤「卓爾さんって最近めちゃくちゃ出てるよね、そういうどうでもいいように見えて結構印象的な役で。関西でももうすぐ『ジョギング渡り鳥』(鈴木卓爾監督作品)も公開されるし」

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