日本初上演、全9時間半もの超大作

2016.10.19 08:00

左から『繻子の靴』製作発表に登壇した演出の渡邊守章、剣幸、狂言師の茂山逸平、映像・美術の高谷史郎(13日、春秋座)

(写真2枚)

開演11時から終演20時半まで(途中30分休憩3回を含む)の超大作舞台『繻子の靴』が、12月に「京都芸術劇場 春秋座」(京都府左京区)で国内初上演される。「1日目」~「4日目」と名づけられた4部構成による戯曲は、かつてフランスでは徹夜上演も行なわれたほど、現代演劇史に燦然と輝く金字塔。しかし、そのスケールのあまりの大きさに、日本では長い間、もっとも上演困難な作品のひとつとされてきた。

この大作に取り組むにあたり、出演者のひとり、元宝塚歌劇団月組男役トップスターの剣幸は「ドニャ・プルエーズという役は、繊細で大胆で情熱的で道徳心があって、賢くて、ずる賢くて、私の中のありとあらゆる面を出して演じていかないと追いつかないぐらい、やりがいのある役。退屈しない、おもしろかったと言っていただけるような芝居にしたい」と意気込みをコメント。また翻訳・構成・演出を務める渡邊守章は、「この作品は近代戯曲の通例とは違って長短入り混じった自由詩で書かれている。これをいきなり歌舞伎のセリフ風にしたり、謡曲みたいに言えばいいというのではないので、翻訳者としては苦労した。(休憩を除くと)8時間の超大作になりますが、お客様にとって単に過酷ではなく、知的ならびに感覚的に芝居の面白さがわかっていただければうれしい」とコメントした。

「ドニャ・プルエーズという役は、私が今まで演じた女性像を集めても間に合わないぐらいの役」と剣幸(13日、春秋座)
「ドニャ・プルエーズという役は、私が今まで演じた女性像を集めても間に合わないぐらいの役」と剣幸(13日、春秋座)

出演には剣をはじめとする実力俳優に加え、狂言師や能楽師も参加。また野村萬斎が映像出演する。本作はフランスの前衛劇詩人であり、世界で活躍した外交官でもあったポール・クローデルが、大正時代に訪れた日本滞在中に書き上げた戯曲。大航海時代を舞台に、恋人のすれ違いによるメロドラマが展開される。公演は12月10日・11日。チケットは一般6,500円ほか、各プレイガイドで発売中。

写真/桂秀也

『繻子の靴』

作:ポール・クローデル『繻子の靴』(岩波文庫版)
翻訳・構成・演出:渡邊守章
出演:剣幸、吉見一豊、石井英明、阿部一徳、小田豊、瑞木健太郎、茂山七五三、茂山宗彦、茂山逸平、藤田六郎兵衛(能管)、野村萬斎(映像出演)、ほか
日時:2016年12月10日(土)・11日(日) 11:00〜
会場:京都芸術劇場 春秋座(京都市左京区北白川瓜生山2-116 京都造形芸術大学内)
料金:一般6,500円、シニア6,000円、学生・ユース3,000円
電話:075-791-8240

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