小吹隆文撰・週末アート、10/19〜

2016.10.19 07:00
(写真3枚)

「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、ルネサンス期のヴェネツィア美術、日本古来の正倉院展、現代舞台美術と、多岐にわたるジャンルに注目。

 

水の都で生まれたもう一つのルネサンス
『日伊国交樹立150周年特別展  アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち』
@国立国際美術館(大阪市北区)

水の都と呼ばれるイタリア・ヴェネツィアから、15世紀から17世紀初頭の名画57点が来日します。イタリア美術といえば、フィレンツェで起こったルネサンスが有名です。しかし、同時代のヴェネツィアでも多くの優れた画家が活躍していました。

ジョヴァンニ・ベッリーニ《聖母子(赤い智天使の聖母)》 油彩/板
ジョヴァンニ・ベッリーニ《聖母子(赤い智天使の聖母)》 油彩/板

たとえば、15世紀後半の初期ルネサンスを代表するベッリーニは、詩情豊かな母子像を数多く残しました。黄金時代と呼ばれる16世紀初頭にはティツィアーノが活躍。16世紀後半になると、ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノが台頭しました。本展ではこれら巨匠たちの名作が一堂に揃うほか、実在の人物を描いた肖像画も展覧。日本では馴染みが薄いルネサンス期ヴェネツィア絵画の世界を堪能できます。

2016年10月22日(土)〜2017年1月15日(日)
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舞台公演だけでなく美術展も要注目
『KYOTO EXPERIMENT 2016 AUTUMN(展示プログラム)』
@京都芸術センターほか(京都市中京区)

2010年から始まった京都初の国際舞台芸術祭『KYOTO EXPERIMENT』。最初は大規模なイベントではありませんでしたが、先鋭的で質の高い公演を取り上げてきた結果、今では国際的に評価されるイベントに成長しました。しかし今回取り上げるのは舞台ではありません。『KYOTO EXPERIMENT』には展示プログラムも用意されており、要注目の企画がいくつもあるのです。

京都芸術センターにて、10月28日(金)〜11月27日(日)開催の「小泉明郎 CONFESSIONS」より《忘却の地にて》 2スクリーン・ビデオ・インスタレーション、絵葉書、2015 Image courtesy of the artist & Annet GelinkGallery (Amsterdam), MUJIN-TO Production (Tokyo)
京都芸術センターにて、10月28日(金)〜11月27日(日)開催の「小泉明郎 CONFESSIONS」より《忘却の地にて》 2スクリーン・ビデオ・インスタレーション、絵葉書、2015 Image courtesy of the artist & Annet GelinkGallery (Amsterdam), MUJIN-TO Production (Tokyo)

おすすめは、英国の現代美術家マーティン・クリードが舞台公演と共に「京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA」で行う展示と、日本の小泉明郎が「京都芸術センター」で行う映像の個展です。他にも池田亮司の野外インスタレーションなどがあり、美術ファンと舞台ファンのどちらにもぜひ体験してほしいです。

2016年10月22日(土)〜11月13日(日)
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日本人なら1度は見たい展覧会
『第68回正倉院展』
@奈良国立博物館(奈良県奈良市)

奈良時代に東大寺大仏の造立を発願した聖武天皇遺愛の品を、756年にお后の光明皇后が献納したことに始まる正倉院宝物。東大寺の儀式で使った方具や貴族たちの奉納品も合わせ、現在、約9000件の宝物が伝わっています。これらの品々を毎年秋に公開しているのが、『正倉院展』です。

漆胡瓶
漆胡瓶

今回は、鳥の頭をかたどった注口部を持ち、ペルシャ由来のデザインとされる「漆胡瓶」や、大樹の下で石に乗って見返る尾長鳥を左右対称に描いた「鳥木石夾纈屏風」、東大寺で執り行われた聖武天皇の一周忌で法会の場を飾った「大幡残欠」など、64件の宝物が出陳、うち9件が初出陳となります。日本が世界に誇る文化遺産を鑑賞できる、年に1度の機会です。お見逃しなく。

2016年10月22日(土)〜11月7日(月)
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