小吹隆文撰・週末アート、11/30〜

2016.11.30 21:13
(写真3枚)

「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、漫画、彫刻、絵本原画と盛りだくさん。

ルーヴルが認めたフランスの漫画文化
『ルーヴル美術館特別展 ルーヴルNo.9 〜漫画、9番目の芸術〜』
@グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボ(大阪市北区)

日本に漫画があるように、フランス語圏には「バンド・デシネ(BD)」という独自の漫画文化があります。BDには絵柄が緻密で技巧に富んだものが多く、フランスでは「建築」、「彫刻」、「絵画」、「音楽」・・・に続く第9番目の芸術と位置付けられています。そうしたBDの芸術性に目を付けたのが、パリのルーヴル美術館。

マルク=アントワーヌ・マチュー/「レヴォリュ美術館の地下ーある専門家の日記よりー」 ©Futuropolis / Musée du Louvre éditions 2006
マルク=アントワーヌ・マチュー/「レヴォリュ美術館の地下ーある専門家の日記よりー」 ©Futuropolis / Musée du Louvre éditions 2006

2003年から「ルーヴル美術館BDプロジェクト」を開始し、国内外の漫画家たちにルーヴルをテーマにした作品の制作を依頼しました。本展では、16人の漫画家が描いた約300点の原画やネームなどの資料、特別映像、インスタレーションなどで、このプロジェクトの全容を紹介。フランス人作家のニコラ・ド・クレシー、エンキ・ビラルほか、日本からは、荒木飛呂彦、谷口ジロー、松本大洋、ヤマザキマリなどが参加しています。

2016年12月1日(木)〜2017年1月29日(日)
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彫刻・立体と写真の優品をたっぷり堪能
『特集 彫刻大集合/小企画 ハナヤ勘兵衛の時代デェ!!』
@兵庫県立美術館(神戸市中央区)

日本の美術館では企画展がもてはやされる傾向があります。しかし、美術館の真の実力が分かるのは、収蔵品を並べた常設展示や、それらをアレンジしたテーマ展示ではないでしょうか。兵庫県立美術館で行われている2つの展覧会は、その好例というべきものです。

(左)オーギュスト・ロダン《オルフェウス》1892年 (右)ハナヤ勘兵衛《ナンデェ!!》1937年 個人蔵
(左)オーギュスト・ロダン《オルフェウス》1892年 (右)ハナヤ勘兵衛《ナンデェ!!》1937年 個人蔵

「彫刻大集合」では、ロダン、ブールデル、マイヨールなどの近代彫刻の巨匠から、現代の篠原有司男、ヤノベケンジまで、約50点の彫刻・立体作品が一堂に会します。一方、戦前戦後に芦屋市を拠点に活躍した写真家・ハナヤ勘兵衛を紹介する「ハナヤ勘兵衛の時代デェ!!」では、貴重なヴィンテージ・プリント、大阪を中心に当時の世相を色濃く反映した作品、紀伊半島をテーマにした晩年の作品が紹介されます。

2016年11月19日(土)〜2017年3月19日(日)
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人気絵本作家の大規模個展が京都で
『ミロコマチコ いきものたちの音がきこえる』
@美術館「えき」KYOTO(京都市下京区)

大胆な構図と造形、鮮やかな色彩で動物などを描き、今最も注目されている絵本作家、ミロコマチコ。彼女の大規模な個展が行われます。

《グランドガゼルもまってる》2010年
《グランドガゼルもまってる》2010年

ミロコマチコは2005年より個展を行うようになり、2012年に『オオカミがとぶひ』で絵本作家デビューを果たしました。以降、手掛けた4作品すべてが主要な絵本賞を受章。現在は、絵本、個展、壁画、ワークショップ、企業キャンペーン、テレビ番組のアートディレクションなど、幅広く活動しています。今回の展覧会では、代表的な絵本原画をはじめ、絵画や立体の大型作品、最新作などを展示して、彼女の“今”に迫ります。また、会期中にサイン会(12/1・12/4)とライブペインティング(12/4)も予定されています。

2016年12月1日(木)〜25日(日)
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