関空発、アンコール遺跡群を求めて

2016.12.2 23:00
(写真5枚)

観光だけでない、カンボジアの現実と未来

カンボジア国民の平均年齢は24歳。それは多くの国が関わった1970年代の内戦(現地の人は、内戦ではないと主張している)で、ポル・ポトの大虐殺により多くの国民が亡くなったことに起因している。そのため、街中を歩いていても、老人を見ることがほとんどない。かといって、そこに悲壮感はまったくなく、むしろ、これから成長していくであろう希望が国を明るく照らしている。それを支えるのが、各国からの援助とNPO団体だ。カンボジアのNPO団体は、若者が自立するための「手に職を付ける」支援をおこなっている。

シェムリアップにあるホスピタリティ学校「サラ・バイ・レストラン・スクール」
シェムリアップにあるホスピタリティ学校「サラ・バイ・レストラン・スクール」

アンコール遺跡群を有するカンボジアは、欧米を中心に多くの観光客が訪れ、それに伴い、ホテルやレストランの開業が相次いでいる。そういった業界は、NPO団体に援助することで職業訓練(接客サービスからルームメイク、調理の実習や英語の習得、さらには常識的な言葉遣いなど)を依頼。若者たちは働きながら学ぶのではなく、一定レベルの職業訓練を無料(!)で受けてから就職でき、ホテルなどにとってもいちから教育する必要がないという、まさにWin-Winの関係ができているのだ。

今回訪れたのは、シェムリアップにあるホスピタリティ学校「サラ・バイ・レストラン・スクール」(フランス)。貧困層の若者たちをわずか11カ月という短い期間で一流のホテルに送り出しているという。学費や住居、食事など、在学中の費用はすべて無料。ここでは、フロント業務、ハウスキーピング、クッキングなどのコースがあり、レストランではその実習も兼ねて、学生たちが接客。多少、緊張した様子はあるものの、真面目な接客に、思わずこちらも笑みがこぼれる。そして、出てくる料理はどれもホテル並みのクオリティ。前菜・メイン・デザートがセットになったランチコースは10〜12ドル、ビールは2ドルと価格も良心的だ。一生懸命、そして笑顔で学ぶ若者たちが、これからのカンボジアを支えていくのだ。

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