大橋トリオ「世界で聴いてもらえる音楽を」

2016.12.17 09:00
(写真2枚)

70年代の良質な洋楽シンガーソングライターものを彷彿させる音楽性で、洒脱かつメロディ豊かなサウンドを紡ぎ続けてきた大橋トリオ。最近では映画『PとJK』(2017年3月公開)の音楽制作やアーティストへの楽曲提供など幅広く活動。近年はロック色の強いアルバムを伴って『フジロック・フェスティバル』などの野外フェスにも出演する一方、ニューシングル『りんごの木/宇宙からやってきたにゃんぼー』は、Eテレで9月末からスタートした5分間アニメ『にゃんぼー』の主題歌も含めた、大人はもちろん、子どもも楽しめる仕上がりに。ロック、ジャズ、フォーク/カントリーなどの様々な要素を自在にブレンドし、来年活動10周年を迎える大橋トリオこと大橋好規に、新作や近年の動向について語ってもらった。

取材・文/吉本秀純 写真/Ayami

──今回のニューシングルに収録されている『宇宙からやってきたにゃんぼー』と『ぼくのピコリーナ』は、タイトル通りに大橋トリオ流の童謡ソング的な仕上がりで、こちらも今までにありそうでなかった曲調で驚きました。

「『宇宙からやってきたにゃんぼー』はEテレのアニメ『にゃんぼー』のオープニング・テーマとして書いた曲で、テレビでは20秒のものを伸ばして2分半くらいにしましたね。最初は子ども向けっぽいアプローチで始まって、途中にちょっと大人な演奏を入れるというアレンジにしてみました」

──たしかに子ども向けっぽい曲かなと思って聴いていると、途中から渋いブラジリアン・ジャズ的なアレンジに転じて大橋トリオらしい音になっているように思いました。『ぼくのピコリーナ』もチェンバー(室内楽)調のアレンジが施されていて、単なる子ども向けで終わらせない楽曲になっているなぁと。

「その『にゃんぼー』のなかでは劇中の音楽もやらせてもらっていて、そこに出てくるちっちゃいキャラクターのテーマみたいな感じで作った曲で。今回のシングルの雰囲気に合うかなと思ったので、自分ヴァージョンとして歌詞も付けて作り直したんです。だから、子ども向けだけど、大人もじっくり聴けるような要素を入れた、ちゃんとしたものにしたいと思っていましたね」

──同じシングルに収録されている『りんごの木』は、4曲目に『apple tree~りんごの木 English ver.』として全編英語詞でアレンジも変えたヴァージョンも収録されていて、メロディと楽曲の良さが別角度で際立っていますね。

「『りんごの木』は何年か前に作った曲で、ずっと温めていたんですよね。大事な曲だから単体でスポットが当たるような出し方をしたいなと考えていて、今回シングルを出そうとなったので、じゃあ、今かなと。それで、もともと英語がハマるだろうなと思って作っていた曲でもあるから、全英語詞でもやってみたかったんですよね。アレンジも『apple tree』の方はエレキ・ギターとかも入れて、日本語の『りんごの木』はマンドリンとかも入ってほぼアコースティックな感じになっています」

──今年の2月に発売された10枚目のアルバム『10』はロック・テイストの強い作品だったので、今回のシングルを聴いて、また違うモードへと移りつつあるのかなとも感じましたが。

「いや、そうでもなくて今回は「りんごの木」という曲があったことが大きかったですね。今はまた年内に完成させなきゃいけない次のアルバムを作っている最中です。間に合うかな、という感じですが(笑)」(※2017年2月15日にアルバム『Blue』発売決定)

2017年で活動10周年を迎える大橋トリオ。過去最大規模の全国ツアーも開催される。
2017年で活動10周年を迎える大橋トリオ

──結構締切が差し迫ってきてますね(笑)。

「もっと日々ライフワークのようにやっていればいいものの、僕はそれが出来ない人間で。いつも締め切り間近になってやるんですけど、最近はそれで出来るなというのがわかってきちゃって(笑)。以前は締め切り間近でやるしかないとは思いつつも、本当に出来るのか不安もありながら最初の数日間を休んでいるところがあったんですけど、最近は最後の数日で出来るのがわかってきたから、その前の期間も余裕を持って構えていられるようになりましたね。頭の切り替えが、しっかり出来るようになったというか」

──もちろん、その何もしていないように見える期間も重要なんでしょうけど。

「その間もアイデアとかは考えているんですけどね。と言いながら、昼間から酒ばっかり飲んでますけど(笑)」

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