エキセントリックな展覧会、神戸で

2017.1.7 08:00

《ネゲルハル〔黒人の響き〕》 1911年 ベルン美術館 アドルフ・ヴェルフリ財団蔵 © Adolf Wölfli Foundation, Museum of Fine Arts Bern(兵庫県立美術館にて、1月11日より)

(写真2枚)

芸術教育を受けていない人が、既成概念にとらわれず自発的に制作した芸術を指す「アール・ブリュット」もしくは「アウトサイダーアート」。この分野でもっとも有名な作家の1人、アドルフ・ヴェルフリ(1864〜1930)の大規模個展が、「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)で1月11日から行われます。

彼はスイス・ベルン近郊の貧しい家に生まれ、1895年にヴァルダウ精神病院に収容されると、66歳で亡くなるまで院内で過ごしました。そして、『揺りかごから墓場まで』『地理と代数の書』『葬送行進曲』などの物語、絵画、音楽を紡ぎ出したのです。それらの総数は全45冊・約25000ページにおよび、圧倒的な自己没入性とオリジナリティーにより、後世の芸術家に大きな影響を与えました。

《パリの=美術=展覧会にて》 1915年 ベルン美術館 アドルフ・ヴェルフリ財団蔵 © Adolf Wölfli Foundation, Museum of Fine Arts Bern(兵庫県立美術館にて、1月11日より)
《パリの=美術=展覧会にて》 1915年 ベルン美術館 アドルフ・ヴェルフリ財団蔵 © Adolf Wölfli Foundation, Museum of Fine Arts Bern(兵庫県立美術館にて、1月11日より)

本展では74点の作品でヴェルフリの世界をたっぷりと概観できます。彼を知る人にとっては待望の機会であり、知らない人にとっては未知の世界を知る驚異の体験となるでしょう。いずれにせよ必見の展覧会と言って間違いありません。

文/小吹隆文(美術ライター)

『アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国』

期間:2017年1月11日(水)〜2月26日(日)・10:00〜18:00
(金・土曜〜20:00)※入場は閉館30分前まで 月曜休 
会場:兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)
料金:前売=一般1200円、大学生800円 当日=一般1400円、大学生1000円、高校生・65歳以上700円
電話:078-262-0901(代)
※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて

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