演出家・笈田よし、84歳で国内初オペラ

2017.1.21 07:00

1月26日の大阪公演を前に「蝶々さんは、愛されてると思った男に騙される、メロドラマの典型のお話。きっと泣きます、泣かせます、という売り文句でやりたい」と意気込みを話す演出家の笈田ヨシ

(写真2枚)

明治時代の日本を舞台としたプッチーニのオペラ『蝶々夫人』が、全国4都市で上演。ヨーロッパで活躍している演出家・俳優の笈田ヨシが、日本国内で初めてオペラの演出に取り組む。その作品について、大阪市内で会見が開かれた。

今年で84歳となる笈田。神戸で生まれ、文学座や劇団四季で活動しながらも、早くから活動拠点をヨーロッパに移し、欧州各地で数々のオペラ演出を手掛けてきた。「嘘のジェスチャーをするな、歌い手の決まり事を捨てろなど、歌うんじゃなくて言葉を言ってるようにやってくれと言ってます。いわゆるオペラ的な習慣を捨てて、本当のようにやってほしい」とその手法を話す。また、「能楽を学んだ課程で音楽劇の構成、出演者の整理などがわかっていたからでしょう。海外ではおまえのは音楽的だって褒められた」と明かすほどその評価は高い。

オペラにおける演出について笈田は、「日常生活から一歩劇場に入ると、案内係がいたり、階段を上ったりして、席に着く。音楽が始まってオーケストラがバーンと鳴る。それだけでワクワクするはず。それは僕が作るんじゃない。それぞれその部門の専門家、その才能をどれだけうまく出していただけるか。僕の役割は、みんなが集まったときにどう化学反応が起こるか、その準備をすること」。また日本でのオペラ演出は初めてなうえ、専用劇場でなくコンサートホールでの上演。「特別な状況での演出。僕も初めての経験で、装置も衣裳も照明もどうなるか、スタッフの腕にかかってる。ひとつの新しい形式としてオペラを見ていただき、(会場はオペラ対応だが)大阪でも同様の雰囲気で演出をしたい」と話した。

「6つ、7つの頃からお芝居が好きで小芝居、歌舞伎、剣劇、文楽とかをよく見てた。学校休んで・・・。僕の起源は神戸の新開地ですね」と笈田
「6つ、7つの頃からお芝居が好きで小芝居、歌舞伎、剣劇、文楽とかをよく見てた。学校休んで・・・。僕の起源は神戸の新開地ですね」と笈田

20世紀には異国情緒をウリにした様々なオペラが生まれたが、本作もそのひとつ。物語は、身売りする令嬢の蝶々さんとアメリカ海軍の軍士官との恋愛悲劇だ。笈田の幼少期の記憶をたどり、舞台は昭和初期に設定。どのようなステージになるのかは本人にも想像がつかないと、「恐いですし、でも僕に責任はある。結果はどうやってスタッフのみなさんが美しい花火を打ち上げてくださるか(笑)」と自身も開幕を楽しみに話した。大阪公演は、1月26日に「フェスティバルホール」にて。チケットはSS席14000円ほか、各プレイガイドで発売中。

プッチーニ歌劇『蝶々夫人』

日時:2017年1月26日(木)・18:30〜
会場:フェスティバルホール(大阪市北区中之島2-3-18)
料金:SS席14000円、S席12000円、A席10000円、B席8000円、C席6000円、D席4000円
電話:06-6231-2221

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