「うそだろー!?」受賞を聞き、崔実さん

2017.3.7 08:00

左から、「織田作之助U-18賞」を受賞した浅田紗希さん、「織田作之助賞」を受賞した崔実さん、「織田作之助青春賞」を受賞した中野美月さん

(写真5枚)

新鋭・気鋭の作家の単行本を対象とした『第33回織田作之助賞』の贈呈式が、3月6日に大阪市内でおこなわれ、受賞者の崔実(チェ シル)さんら3名が登壇した。

崔実さんの作品『ジニのパズル』は、2016年に『第59回群像新人文学賞』を受賞した小説。在日朝鮮人の少女が、日本語と朝鮮語、2つの言語の間で違和感に悩みながらも必死に生き、1つの革命を起こす物語だ。織田作之助賞の選考委員である作家の高村薫さんは「在日韓国人の身体感覚や世界観が母語としての日本語と出会った希有な緊張感が全編にみなぎっている。本作が非凡な小説になっている理由だ」と絶賛。

織田作之助賞の選評を述べる作家の高村薫さん(3月6日・大阪市内)
織田作之助賞の選評を述べる作家の高村薫さん(3月6日・大阪市内)

「だんだん実感が湧いてきて、昨晩は、ヤバイ受賞したんだ!と一睡もできませんでした。作品が世に出る前と今とは全然違って、誰も傷つかない作品はないのだと思いました。書いたからには書き手の責任もある。自分が書かなきゃいけないと思ったものと、今後も向き合っていきたい」と、記者会見で語った崔実さん。贈呈式の挨拶では、群像新人文学賞を受賞したときの編集長が亡くなったことを明かし、「おかえり。作家は珍獣みたいなもんだからね、今まで生きづらかったよね。あなたの居場所ができて本当によかった」と声をかけてもらったことを、とてもうれしく幸せに思ったと涙ぐむ場面も。

贈呈式前の記者会見で、「次の小説を今、書いています。ネバーエンディングストーリーなど、ファンタジーが好きで、いつか書きたい」と語る崔実さん(3月6日・大阪市内)
贈呈式前の記者会見で、「次の小説を今、書いています。ネバーエンディングストーリーなど、ファンタジーが好きで、いつか書きたい」と語る崔実さん(3月6日・大阪市内)

18歳までの主に中高生を対象とする「織田作之助U-18賞」を受賞した浅田さんはまだ14歳。24歳までの新人を対象とする「織田作之助青春賞」を受賞した中野さんは24歳。3人のこれからの活躍が期待される。

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