「星屑の隙間に木村基博」オムニバスライブ、かくあるべき夜

2017.4.20 19:00
(写真10枚)

◆大阪城ホールが一体化した3時間半の音楽絵巻

途中、根本が「(出演者の)みんなが好きな曲を好きにやるので」とリラックスムードに誘うが、なにを隠そう関係者に配られたセットリストには、出演陣のパートと役割、ステージの位置と移動、舞台セッティングなどが小さい字でびっしり!このセットリストを見るだけで、どれだけ緻密にこのショーが練られているか一目瞭然だろう。

たとえば中盤、根本が大橋と秦にギターソロを横取りされるというコントがトピックに見えたKANの『桜ナイトフィーバー』。ここで観客にレクチャーされた「パンツ丸見え」という意味不明の振付が、そのとき限りのネタではなく、実はアンコール曲に対する大きなフリになっていた。そういう細かな演出こそ『ホスキモ』の真骨頂。台本なのかアドリブなのか、ハプニングなのか演出なのか。それすら分からないほど、この4組のチームワークは抜群で、ショーとして完璧な構成となっていた。

着物姿の美人ママがスタンバイする「スナック451」
着物姿の美人ママがスタンバイする「スナック451」

そして、ステージ横には着物姿の美人ママがスタンバイする「スナック451」。ここは「曲によってはヒマな人も出ちゃうんですが、ハケて楽屋に戻ったりしません」(根本)というように、手ぶらの出演者が待機するスペースで前回同様の演出であるが、そのスナック名の由来と『ホスキモ』のきっかけについてKANが語り始めた。

「デビューから僕を担当してくれていたグリーンズの横井さんと『面白いことやろうや』と。だけど、前回の開催からほんの3カ月後、病気で亡くなってしまいまして・・・。『ホスキモ』再演の気持ちは全員にあったものの予定が合わず、やっと今日開催することができました。しかも(今年は)7回忌でもあり、昨日なんて命日なんだよね」。

そう、「スナック451」の読みは「ヨコイ」。ふと首からさげた関係者パスに目を落とすと、ちょいワルもとい、ウルトラダンディな横井氏が唯一、眉を垂らして自慢していた針すなお先生直筆の似顔絵。そして会場に響き渡る、スタレビの名曲『木蘭の涙』。関係者の脳裏を生前の横井氏の姿がかすめる。横井氏がいなければ、この『ホスキモ』は生まれなかった。それをここにしっかり記しておきたい。

お約束のカンジェラ、胸の数字はKANの年齢(前回は48だった)
お約束のカンジェラ、胸の数字はKANの年齢(前回は48だった)

後半戦では、2回目ながらお約束となったカンジェラの『よければ一緒に』を皮切りに、『と・つ・ぜ・んFall in Love』、『愛は勝つ』、『全力少年』と、次々と国民的ナンバーが『ホスキモ』編成で繰り出され、アンコールラストには『ホスキモ』唯一のオリジナル曲、その名も『オリジナル』を全員で大合唱(ここでパンツ丸見えの振付が生きる)。ステージと客席がまさに一体化した3時間半の音楽絵巻。昨今のオムニバスライブに一石も二石も投じて、大団円を迎えたのだった。

オムニバスライブはかくあるべき、をとことん見せつけた出演者たち
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