滅んだ噺を復活、古典ならぬ古墳落語

2017.4.15 07:00

滅んだ噺を復活させる試みを5月から始める、小佐田定雄(左)と桂かい枝

(写真2枚)

『時うどん』や『饅頭こわい』など長く語り継がれる古典落語。その一方で、時代に埋もれていった多数の噺があるが、そんな一度は滅んだ噺を復活させる試み『桂かい枝・小佐田定雄の「発掘カイシ!」その1・復活古墳落語』が、5月19日に「天満天神繁昌亭」(大阪市北区)で開催。4月13日、「上方落語協会会館」で会見がおこなわれた。

今回の落語会は、関西で多くの新作落語を手がけ、今年40周年を迎える落語作家の小佐田定雄と、昨年『繁昌亭奨励賞』を受賞した実力派・桂かい枝が企画。「古墳落語」とは滅んで埋もれた噺をさして故・桂米朝が言った言葉だ。小佐田は、「何か面白いことをやろう、やるからには後世に残り寄席でできる噺にしよう、と芸能史研究家の前田憲司さんに『誰も知らない題のみ残る噺』をあげてもらった。そのなかから今回は1894年(明治27年)の『桂派落語演題集』という番付に載る『屁臭最中』を選んだ」という。

「まさに『お題噺』。ただ『へくさもなか』なのか、読み方さえわからない。中身は想像できるが、汚い噺にはしないと決めて『へくさのさいちゅう』とし、遊びを入れて復活させた。落語家が増えて新しい噺が求められているなか、古い題でも使えるものは使う。これも一つの落語の作り方」と小佐田は意気込む。大阪・船場を舞台に得意の古典風味に仕立てて、20分程度の寄席仕様になった。

古い題から噺をふくらませるという、珍しい落語の作り方に挑戦する2人
古い題から噺をふくらませるという、珍しい落語の作り方に挑戦する2人(13日、上方落語協会会館)

演じるかい枝は「面白い落語になっています。笑いもたくさん入るかわいい恋愛ものの噺。女子高生が聞いても共感できると思う」と自信をのぞかせる。会では大ネタの『帯久』も披露予定。かい枝にとっては二重の挑戦となる。今回の「発掘」で、どう蘇るのか楽しみ。成功すれば違う趣向の発掘噺も考えているという。チケットは前売2500円で、現在発売中。

取材・文・写真/やまだりよこ

『桂かい枝・小佐田定雄の発掘カイシ!~その1・復活古墳落語~』

日程:2017年5月19日(金)・19:00〜
会場:天満天神繁昌亭(大阪市北区)
料金:前売2500円、当日3000円
電話:078-452-6814(オフィス・ビギニング)

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