五山の送り火、どこから見る?

2017.8.16 16:00

8月16日の夜、夜空にくっきりと浮かび上がる「五山の送り火」。祇園祭とともに、夏の京都を代表するイベントです。もっとも有名なのは、東山如意ヶ嶽の「大文字」で、送り火の代名詞でもあります。そして、松ヶ崎西山・東山の「妙・法」、西賀茂船山の「船形」、金閣寺付近大北山(大文字山)の「左大文字」及び嵯峨仙翁寺山(万灯籠山・曼荼羅山)の「鳥居形」の5つを指します。お盆にお迎えしたご先祖様の霊を再び浄土にお送りする、精霊送りのかがり火を五つの山で焚く行事です。この日は街灯も控えめに落とされます。東から西に向かって夜8時から次々に点火される送り火は、約1時間静かに燃え続け、京都市内は幻想的な雰囲気に包まれます。 どこから見たら、キレイに見える? 五山それぞれのビューポイントと、送り火までの間に見物したい周辺の名所をご案内します。

20:00 大文字(東山如意ヶ嶽)

送り火のトップバッター、大文字。無病息災が記された護摩木(割木)が送り火の点火資材として当日山上へ運ばれる。19時から山上の弘法大師堂でお灯明が灯され、般若心経があげられる。その後、このお灯明を親火に移し、合図により一斉に送り火が点火される。夜空に美しく浮かび上がる大文字の炎は夜空に美しく映え、暑さを忘れさせます。
■どこから見る?
出町柳の三角州周辺、鴨川の堤防沿い、京都御苑、吉田山
(写真は岡崎周辺より撮影)

20:05 妙法(松ヶ崎西山・東山)

続いて北山・松ヶ崎エリアの「妙」と「法」に点火。「妙」は日蓮上人の孫弟子日像上人「法」は日良上人が書いたと伝えられています。点火の際、「妙」の山で読経が行われます。また送り火終了後の21時頃から「涌泉寺」にて約1時間「題目踊り」「さし踊り」を開催。
■どこから見る?
「妙」は北山通(ノートルダム女学院付近)、宝ヶ池教習所
「法」は高野川堤防沿い、松ヶ崎大黒天交差点付近
(写真は北大路川端付近で撮影)

20:10 船形(西賀茂船山)

船形万燈籠は、妙見山(通称船山)と呼ばれ、京都の北西、西賀茂に位置します。当日朝に割木が山上へ運ばれ地元の人たちの手により点火の準備が行われます。山麓の「西方寺」で鳴らす鐘を合図に、山上の送り火に点火。送り火終了後、「西方寺」で六斎念仏が行われます。
■どこから見る?
北山通(北山大橋から北西)、御薗橋

20:15 左大文字(大北山)

左大文字は大文字山とも大北山とも呼ばれる。大北山の麓には「金閣寺」があります。19時に「法音寺」の親火台で護摩木が焚かれ、点火法要が行われ、その火で親火松明(1基)、手松明(約40本)の順に点火されます。同時刻に街道筋の25カ所の門火が一斉に灯され、火は山上へ運ばれ、山上の送り火に点火。
■どこから見る?
西大路通(西院~金閣寺周辺)、平野神社、わら天神
(写真は平野神社付近から撮影)

20:20 鳥居形(嵯峨鳥居本曼荼羅山)

鳥居形は愛宕山への参道にある鳥居が由来と伝わります。火床は、他の山と違い、木を組むのではなく、松明をそのまま突き立てます。保存会の手により、当日朝に山麓から松明が山上へ運ばれ、16時頃から点火準備にとりかかります。点火と同時に広沢の池で灯篭流しが行われ、送り火と灯篭の幻想的な灯りに包まれます。
■どこから見る?
松尾橋、渡月橋、広沢の池

【ぜんぶ見える場所ってあるの?】

五山は東山から嵐山までかなりの広範囲。ぜんぶ見るためには、大文字山に登るしかありませんが、一般客は入山不可。もしくは、かなり南まで離れないと見られません。例えば、「京都駅ビル」からは見えるようですが、鑑賞会には事前に応募必須(鑑賞券のない人は入場不可)。ぜんぶが見えるぶんだけ、送り火までの距離は遠く、とても小さく見えるので、初心者は見どころを絞って近くから見るほうが、神聖な雰囲気を味わえます。また、市内のホテルの最上階レストランや、「同志社大学寒梅館」7階のスカイレストランなどは、有料ですが確実なビューポイント。

写真/中田昭

『京都五山送り火』

日程:毎年8月16日20:00点火
場所:京都市内全域

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本