独特の世界観、京都で有元利夫の回顧展

2017.9.11 07:00

有元利夫《室内楽》1980年 東京国立近代美術館蔵 ©Yoko Arimoto

(写真4枚)

1985年に38歳の若さで亡くなったものの、現在も幅広い人気を誇る画家・有元利夫(1946〜1985)。彼の業績を振りかえる展覧会『有元利夫展-物語をつむぐ』が、9月16日から「アサヒビール大山崎山荘美術館」(京都府大山崎町)で始まります。

有元はイタリア初期ルネサンスを代表する画家ピエロ・デッラ・フランチェスカや日本の古い仏画から影響を受けており、その作風は詩的な静寂感、どこかぎこちないポーズの人物表現、洋の東西や時空を超越した世界観が特徴となっています。彼自身「風化したものは、僕にとっていつも美しく物語のある空間です」と語っており、現代の作品でありながら遠い昔からやって来たような、懐かしさと存在感をたたえているのです。

有元利夫《花降る日》1977年 三番町 小川美術館蔵 ©Yoko Arimoto

彼は1978年に具象洋画の登竜門だった『安井賞』で、この年だけの特別賞である『安井賞選考委員会賞』を受賞、1981年には同賞の大賞である安井賞を受賞し、画壇にその名を轟かせました。しかし、受賞から4年後の1985年に病没。その活動期間は初個展の1975年からわずか10年ほどであり、残したタブローは約400点ほどと言われます。しかし、前述した独自の作風により熱心なファンが絶えず、現在でも人気作家であり続けています。

有元利夫《テアトル》1981年 三番町 小川美術館蔵 ©Yoko Arimoto

本展では、絵画を中心に、版画や立体も含めた有元作品約50点が集います(会期中に展示替えあり)。同館の洋館建築と有元作品は相性が良さそうなので、きっとほかでは味わえない濃密な芸術体験ができるでしょう。また美術館内のカフェでは、「リーガロイヤルホテル京都」が本展のために考案した2種類のケーキが味わえます。展覧会の余韻をかみしめながら、カフェでゆったりとした時間を過ごすのもおすすめです。

文/小吹隆文(美術ライター)

『有元利夫展-物語をつむぐ』

期間:2017年9月16日(土)〜12月10日(日)※月曜休 ※9/18・10/9・11/20・27・12/4開館、9/19・10/10休館
時間:10:00〜17:00 ※入館は16:30まで 
会場:アサヒビール大山崎山荘美術館(京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3)
料金:一般900円、大高生500円、中学生以下無料 
電話:075-957-3123(総合案内)

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