中谷美紀「舞台は恐ろしいところ」

2017.10.10 12:00

本作を「残酷かつ官能的な愛の物語」だと語る中谷

(写真3枚)

映画やテレビドラマなど、高い演技力を活かして様々な役を演じ続けている女優・中谷美紀。2年ぶりとなる彼女の主演舞台『黒蜥蜴』が東京と大阪で上演されるのを前に、大阪市内で記者会見がおこなわれた。

原作は、女盗賊・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎の対決を描いた江戸川乱歩の推理小説。三島由紀夫が戯曲化した本作について中谷は、「おそらく三島が原作よりもこだわったのは、黒蜥蜴と明智小五郎のラブストーリー。そこにかなり特化して描いていらっしゃるので、胸がヒリヒリするような愛があります。(演出の)デヴィッド・ルヴォーさんも『本当にロマンティックで、美しいラブストーリーだ』とおっしゃっているので、そこにかなり焦点を当てるのでは」と話す。

製作発表に出席した中谷らキャストと演出のデヴィッド・ルヴォー(左)
製作発表に出席した中谷らキャストと演出のデヴィッド・ルヴォー(左)

演じる黒蜥蜴について、「血も涙もなかったはずの黒蜥蜴が、明智小五郎という唯一のライバルに出会うことで愛というものを知る。そういう相手に出会えたことは幸せだと思います。でも、人間らしい血の通った生活をしてこなかったという意味では、とても哀しい人」と語る一方で、「私も美しいものが大好きなので、彼女が美しいものに触れるために生きているような所に、少々共感してしまうんです。かと言って、そのために人を殺したいとまでは思わないのですが(笑)」と、自分との共通点にも触れた。

黒蜥蜴を「哀しくもあり、また幸せな人」と分析する中谷
黒蜥蜴を「哀しくもあり、また幸せな人」と分析する中谷

わずか2度目の舞台で「第21回読売演劇大賞」の最優秀女優賞を受賞するなど、舞台での演技も絶賛されている中谷だが、「舞台は恐ろしいところ」だと言う。「以前共演した方が『演劇の世界は黄金の牢獄』とおっしゃっていましたが、まさにこの世界を表現している言葉ではないかと。舞台に上がるたびに、身体をナイフで削っているような感覚に陥るので、毎回『(舞台は)これが最後』と思いながら演じています」と笑う。

「今も詩的で文学的な三島の言葉を覚えるのに時間がかかっていますが、ルヴォーさんが大きな懐で包んでくださっていますので、本番までには『黒蜥蜴』を見いだせるよう励みたいです」と意気込みを話した中谷。大阪公演は、2018年2月1日~5日に「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)にて上演。チケットはS席12500円、A席9000円、B席5000円、各プレイガイドで発売中。

取材・文/吉永美和子、写真/舞山秀一

『黒蜥蜴』

日程:2018年2月1日(木)〜5日(月)
会場:梅田芸術劇場メインホール(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:S席12500円、A席9000円、B席5000円
電話:06-6377-3800

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