奈良の現状を憂う、地元有志のアート展

2017.10.26 07:00

奥中章人作品 ※参考図版(帝塚山学園18号館で展示)※実際に展示される作品のイメージではありません

(写真7枚)

近鉄奈良線「学園前駅」(奈良市)の南側一帯で『学園前アートフェスタ2017-メメント・森-』が11月4日から始まります。

学園前は昭和の高度成長期に開発されたニュータウンで、いわゆる「瀟洒(しょうしゃ)な住宅街」です。また地区内に私立校や美術館があり、文教地区でもあります。しかし、そんな学園前でも近年は少子高齢化や空き家問題が顕在化してきました。このイベントは現状を憂う地元有志が発案し、駅南側の空き家、学校、美術館、ギャラリーなどを会場にアートイベントを開催するものです。美術展を楽しみながら、地元の歴史と現状を振り返り、何らかの突破口を模索することがテーマとなっています。ちなみにサブタイトルの「メメント・森」は、ラテン語の警句「メメント・モリ(死を忘れるな)」と、開発前の学園前が深い森だったことにちなんでいます。

中島麦作品 ※参考図版(帝塚山学園18号館でワークショップを開催)

参加作家は11組。観客体感型の大作を得意とする奥中章人(帝塚山学園18号館で展示)、植物の断片から型を取って小さな生き物を表現する新野洋、使われなくなった電球の中に植栽を施して小さな生態系を作り出すRe:Planter+川﨑仁美(どちらも淺沼記念館で展示)、ベテランの伊東敏光と原田要(どちらも大和文華館文華ホールで展示)など、バラエティに富んだ表現が楽しめます。

一昨年の会場風景(淺沼記念館)

地域を舞台にしたアートイベントの場合、開催エリアが広くて移動が大変という問題が起こりがち。しかし『学園前アートフェスタ』は会場が密集しており、半日で全会場を巡れ、最寄り駅からもすぐ。アート初心者にもおすすめです。

文/小吹隆文(美術ライター)

『学園前アートフェスタ2017-メメント・森-』

期間:2017年11月4日(土)〜11日(土)※11/6休 
時間:10:00〜17:00 ※会場によって時間変更の場合あり 
会場:近鉄奈良線「学園前駅」南エリア(GALLERY GM-1、帝塚
山学園18号館、中村家住宅、淺沼記念館、前部家住宅、大和文華館文華ホール、奈良市西部会館)
料金:入場無料
電話:0742-41-4509(学園前街育プロジェクト実行委員会事務局)

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