立川談春、年末に落語界のタブーに挑戦

2017.10.30 06:00

年末に大阪で恒例となる独演会をおこなう立川談春

(写真2枚)

テレビドラマ『下町ロケット』や映画『忍びの国』など、俳優としての存在感も増している立川流の落語家・立川談春が、「フェスティバルホール」(大阪市北区)で12月28日、年の瀬恒例の独演会をおこなう。2015年以来、3年連続での開催。毎年、『芝浜』を口演しており、今年は同時に『文七元結』を披露する。

『芝浜』と『文七元結』は、貧困にあえぐ庶民の姿を描いた人情噺で、江戸落語の大ネタ。いずれもクライマックスは年の瀬と、趣向の似たネタを二席上演するのは、落語の世界ではタブーとされているという。

「聞く方も疲れると思いますよ。ステーキ食べ放題に行った後に、すき焼き食べ放題に連れていかれるようなもの。でも、2700人が入るフェスティバルホールなら『胃もたれ』も少ないと思う」と経験に裏打ちされた自信をのぞかせる。

一方「当日になったらテンパるかもしれない」とぼそり。「初めて落語を聞く人が、この二席を1つのもののように感じるかもしれないので。ただ、『これが落語なんだ』と思ってもらえる効果は狙っています」。

落語の世界ではタブーとされているという趣向の似たネタを二席上演する立川談春(26日・大阪市内)
落語の世界ではタブーとされているという趣向の似たネタを二席上演する立川談春(26日・大阪市内)

15歳のとき、『立川談志・三十周年記念独演会』で初めて『芝浜』を聞き、談志の下へ入門を志した。「落語でこんなに感情移入をしたり、感情表現をするんだって、終わった後、席を立てなかった。周りの大人もみんな、うつむいていて、子ども心に一人ひとりがこの噺に向き合っていると思ったんです」と振り返る。

それから自身の噺家生活も30年を超えた。「談志はよく『落語は江戸の風が吹いていなきゃいけない』と話していた。その意味がこの頃、わかってきたような気がする」と談春、今年どんな風を吹かせるのか、楽しみに待ちたい。チケットは11月11日より各プレイガイドで発売される。

取材・文・写真/岩本和子

『立川談春 独演会 2017 大阪公演』

日時:2017年12月28日(木)・18:30〜
会場:フェスティバルホール(大阪市)
料金:S席5400円、A席3780円
電話:0570-200-888(キョードーインフォメーション)
チケットは2017年11月11日(土)より発売

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