やはりスゴかった、SWシネマコンサート
映画『スター・ウォーズ』シリーズの「エピソード7」となる『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を、フルオーケストラの演奏とともに上映するシネマコンサート『スター・ウォーズ/フォースの覚醒 in コンサート』が10月、大阪で開催された。『スター・ウォーズ』のシネマコンサートの日本公演は、シリーズ史上初の試み。この貴重な機会に、映画評論家・ミルクマン斉藤が潜入した。
135分間、ほとんど音楽が敷き詰められている
わかっちゃいるが身体が震える。あの黄色い文字のタイトルが宇宙空間に出現するなり、ホールに鳴り渡る大音響のトゥッティ。オーケストラの編成は超巨大だ。トランペットもトロンボーンも4、5本。ホルンなんて6本はあるか。マーラーの交響曲かよ。そりゃあそれくらい揃えないととても演奏し続けられないだろう。楽員の・・・とりわけ金管楽器奏者のヘヴィさは尋常じゃないはずだ。なんせ135分間、ほとんどずっと音楽が敷き詰められているんだから。
最近、巷で大評判だという「シネマコンサート」。僕にとっての初体験が『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』だったというのは幸いだった。わざわざ生演奏してもらえるんだから、クラシック音楽好きでもある僕にしてみれば、聴きごたえのあるオーケストラ曲のほうがいい。その点、ジョン・ウィリアムズの音楽ならば何の不足も無し。
目指していた、古きハリウッド冒険映画の復活
もともと彼とジョージ・ルーカスが最初の『スター・ウォーズ』で目指したのは、古きハリウッド冒険映画の復活だった。オーストリアからアメリカに亡命し、ハリウッド流映画音楽の礎を築いた天才作曲家エーリッヒ・コルンゴルトのスタイルを継いで、物語に寄り添うように音楽が付けられている。歌いはしないが、まるでオペラだ。ワーグナーの手法であるライトモティーフ(登場人物それぞれに用意されたメロディや動機)を採用したコルンゴルトに倣って、ルーク、レイア、ダース・ベイダーらに与えられたテーマは誰もが思い出せるもの。
木管楽器とチェレスタ(今回のコンサートではシンセサイザーが音を模していたようだ)という、今までのシリーズにはない音の組み合わせが新鮮な「レイのテーマ」。フーガ風の勇壮な展開で否が応にも盛り上がる「レジスタンスのマーチ」といった、本作で初登場となる曲の良さが確認できるのはもちろん、ハン・ソロとレイアが再会した途端に甦る、おなじみの2人のテーマにはやはりゾクリとさせられる。いってみれば音を聴いているだけで、だいたい誰が画面に登場しているのか目をつぶっていたってわかるのが『スター・ウォーズ』だが、それらのテーマが絡み合いつつクライマックスを築いていく終盤の戦闘シーンは昂奮ものだ。
東京フィルハーモニー交響楽団の想像以上の健闘ぶり
しかしこれ、オーケストラにとってはまさに地獄だろう。クラシックの曲で、こんなに長時間フォルテシモの強奏が続くことなんて滅多にないからだ(それに加えてトランペットなどは高音だし)。東京フィルハーモニー交響楽団の想像以上の健闘ぶりに感心しきり。ま、映画よりもどうしても演奏の方に神経は集中してしまうが、コスプレしたファンも大勢詰めかけた観客のほとんどは、すでに映画を何度も観返してとっくに頭のなかに入ってるだろう。
もちろんのことだが、映画は音楽の部分だけが抜き取られたコンサート用の素材。それにどうやって、こんなにぴったりと生音を付けることができるのか・・・と、つい指揮台を注視する。オーケストラ背後のスクリーンに映写されているのと同じものが、総譜の上に設置されたモニタにも映されている。その画面をよく見ると、左から右へとカラーバーが移動していくのがわかる。指揮者はそれで曲の頭とテンポを読み取っているのだろう。指揮者はニコラス・バックというなかなかの男前だが(笑)、調べるとやはりジョン・ウィリアムズの『ハリー・ポッター』なども振る、シネマコンサートの名人らしい。
さて、こうして「エピソード7」を復習したところで、12月にはいよいよ「エピソード8」・・・『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の公開だ。コンサートの最後には予告編も上映されたが、何故ルーク・スカイウォーカーは姿を消していたのか? 「最後のジェダイ」のその意味は? すべてが明らかになるのはもうすぐだ。
取材・文/ミルクマン斉藤
© 2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
2017年12月15日(金)公開
監督:ライアン・ジョンソン
出演:デイジー・リドリー、ジョン・ボヤーガ、ほか
配給:ディズニー
© 2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
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