京都で、民藝を代表する濱田庄司の世界

2017.12.13 07:00

左から、濱田庄司《白釉型押流描角皿》1960年代、《柿釉蝋抜黍笹文筥》1960年代 共にアサヒビール大山崎山荘美術館蔵

(写真2枚)

大正から昭和にかけて活躍した陶芸家・濱田庄司(1894〜1978)の没後40年を記念した回顧展が、12月16日から「アサヒビール大山崎山荘美術館」(京都府大山崎町)で始まります。

濱田は神奈川県出身で、1913年に東京高等工業学校(現・東京工業大学)窯業科に入学。板谷波山に師事して陶芸の基本を学びました。1916年には京都市立陶芸試験場に入所し、陶芸家の河井寛次郎と出会っています。また同時期に、民藝運動の創始者である柳宗悦や、陶芸家の富本健吉、バーナードリーチとも知遇を得ました。1920年には帰国するリーチと共に英国に渡り、ロンドンでの個展を成功させています。1924年に帰国すると沖縄に長期滞在して制作。1930年に益子焼の産地である栃木県益子町に移り、その後はずっと同地で制作を行いました。

左から、濱田庄司《スリップウェア格子文皿》1929年頃、《鉄絵葡萄文注瓶》1930年頃 共にアサヒビール大山崎山荘美術館蔵

濱田は民藝運動の創始者の一人であり、その作風は生活工芸に徹しています。つまり、華美に走らず、重厚さと力強さを併せ持つ日用品を制作したのです。また英国で学んだスリップウェア(クリーム状の化粧土をスポイトなどに仕込み、容器から流し出して模様を描く技法)を多用したことでも知られています。

本展では、濱田と民藝運動の支援者だったアサヒビール初代社長・山本爲三郎のコレクション(現在はアサヒビール大山崎山荘美術館が所蔵)を中心に、初期から晩年までの約100作品で濱田庄司の陶歴をたどります。なお、会期中に料理研究家・土井善晴氏の講演会(要事前予約)や、クリスマスウィークのコンサートを予定。カフェではリーガロイヤルホテル京都が本展のために考案した2種類のスリップウェア風ケーキが用意されるなど、関連企画も充実しています。

文/小吹隆文(美術ライター)

『没後40年 濱田庄司展-山本爲三郎コレクションより-』

期間:2017年12月16日(土)~2018年4月8日(日)※月曜休(12/25~1/3休館、1/8・2/12開館、1/9・2/13休館)
時間:10:00~17:00 
会場:アサヒビール大山崎山荘美術館(京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3)
料金一般900円、大高生500円、中学生以下無料 
電話:075-957-3123(総合案内)

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