笑える変顔人形も、大阪で中国陶俑展

2017.12.22 07:00

いずれも、加彩胡人俑 唐開元18(730)年 甘粛省慶城県穆泰墓出土 慶城県博物館所蔵

(写真3枚)

中国・唐時代の墓から発見された貴重な胡人俑(こじんよう)を紹介する展覧会『唐代胡人俑』が、「大阪市立東洋陶磁美術館」(大阪市北区)で開催中です。

この展覧会には、聞きなれない単語が2つ登場します。「胡人(こじん)」と「俑(よう)」です。「胡人」とは、中央アジアのソグド人(イラン系民族)を中心とする異民族の中国における総称です。彼らはシルクロードの商業活動に積極的に関与し、中国文化に大きな影響を与えました。唐の都・長安(現在の西安)には多くの胡人が住んでいたと言われています。一方「俑」とは、古の中国で墓に副葬された陶製人形のことです。かつて中国の人々は、死後の世界も生前と同じ生活ができるよう、墓の中に様々な陶製のミニチュアを副葬していました。そこには胡人の姿を模した俑もあったのです。

胡人俑の表情をクローズアップ。いずれも、加彩胡人俑 唐開元18(730)年 甘粛省慶城県穆泰墓出土 慶城県博物館所蔵

作品の大半は高さ40〜50センチ台で、深目高鼻(深くくぼんだ目と高い鼻)のエキゾチックな顔立ちをしています。顎髭や頬髯をたくわえた者も大勢います。服装は胡服(丸襟と筒袖の上着と、ベルト、ズボンの組み合わせ)で、鮮やかな色柄が今も残っています。中にはヒョウ柄のズボンを着用した像もあり、現代の我々から見てもかなりのおしゃれぶり。両手を上げて踊っているように見える像もありますが、これは馬やラクダの手綱を引く様子を表しています。会場には馬やラクダの俑も展示されているので、それを見れば更に臨場感が得られます。

「唐代胡人俑」と同時開催されている「いまを表現する人間像」の展示風景

また、作品はどれも表情が豊かで、笑ってしまうぐらい変顔の人も。ヘアスタイルもバラエティーに富んでおり、唐時代の国際色豊かな文化が偲ばれます。中国史や陶芸に詳しくない人でも心配はご無用。ファッションやフィギュアの視点から見ても興味深いので、誰でも十分楽しめます。なお同館では、「国立国際美術館」(大阪市北区)所蔵の現代彫刻9点から成る「いまを表現する人間像」も同時開催中。時空と洋の東西を超えた人間像の共演にもご注目ください。期間は2018年3月25日まで。料金は一般1200円。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『開館35周年記念・日中国交正常化45周年記念『唐代胡人俑-シルクロードを駆けた夢』

期間:2017年12月16日(土)〜2018年3月25日(日) 
時間:9:30〜17:00(12/22~24は19:00まで)※月曜休(1/8・2/12開館)、1/9・2/13休館、12/28~1/4休館
会場:大阪市立東洋陶磁美術館(大阪市北区中之島1-1-26)
料金:一般1200円、大高生700円 
電話:06-6223-0055

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