大賞は「絶叫したい」作品、関西戯曲賞

2017.12.20 17:00

劇団・悪い芝居の作・演出家をつとめる山崎彬 写真/編集部

(写真3枚)

関西で上演した演劇作品を対象に、次代を担う劇作家を発掘する『OMS戯曲賞』。19日、第24回の最終選考会が大阪市内でおこなわれ、京都の劇団「悪い芝居」を主宰する山崎彬が、同劇団で発表した『メロメロたち』で大賞に選ばれた。

『メロメロたち』は内戦中の日本を舞台に、解散したバンドと、彼らの音楽を心のより所とする少女兵士の物語が交錯する音楽劇。山崎が「銀杏BOYZの音楽のグルーヴを演劇に変換する」ことを目指して作った作品で、暴力的な世界で生きる若者たちが抱える痛みと切なさを、激しいロックの生演奏で増幅した好舞台となった。

『OMS戯曲賞』の審査員ら
『OMS戯曲賞』の審査員ら

選考委員のひとりで、作・演出家・女優の渡辺えりは、「このロックを歌いたい、絶叫したい」とコメント。戯曲の言葉だけでも十分伝わる熱量の高さが、大いに評価されての受賞だ。

あいにくこの日、山崎は新作舞台『笑う吸血鬼』の稽古のため、授賞式を欠席。式後に「ついに大賞をいただくことができ、すべての人に感謝したいです。いち俳優でしかなかった僕が『出たいお芝居がないなら書けばいい』と戯曲を書き始め、書いて書いて書き続けてたどり着いた作品です。これからも出たくて観たいものを書き続けます。ライフイズラブリー!」と、メールで直接喜びの声を寄せた。

『メロメロたち』で主役のドラマーを演じた劇団員・植田順平(右)が山崎の代わりに授賞式に出席。左は佳作受賞の植松厚太郎(19日・大阪市内)
『メロメロたち』で主役のドラマーを演じた劇団員・植田順平(右)が山崎の代わりに授賞式に出席。左は佳作受賞の植松厚太郎(19日・大阪市内)

佳作は「立ツ鳥会議」の植松厚太郎『午前3時59分』が受賞し、これらを含む最終選考作品はすべて公式サイトで閲覧可能。山崎が演出する『笑う吸血鬼』は、12月28日~31日に「大阪ビジネスパーク円形ホール」(大阪市中央区)で上演される。

取材・文・写真/吉永美和子

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