京都で、ゴッホと日本の知られざる関係展

2018.1.10 07:00

フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人》 1888年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵 © Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)

(写真5枚)

19世紀後半のフランスで活躍した画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890)。 彼の展覧会『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』が、1月20日から「京都国立近代美術館」(京都市左京区)で始まります。

今もなお世界中で愛されている彼の作品と生涯には、日本が大きな影響を与えています。またゴッホの作品も、日本の芸術家や知識人に深く愛されました。その相互関係を探るのが本展です。ゴッホは1869年にオランダからパリに移り住みました。当時のパリはジャポニスム(日本趣味)の最盛期で、画商ビングの店で大量の浮世絵を見た彼は、その鮮やかな色彩や芸術性の高さにたちまち魅了されます。実際、彼の作品のなかには、油彩画による浮世絵の模写や、浮世絵の構図を拝借した作品が見られます。また彼は日本を理想郷と見なして憧れ、明るい陽光で知られる南仏アルルに日本を重ね合わせて移住しました。

フィンセント・ファン・ゴッホ《花魁(溪斎英泉による)》 1887年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵 © Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)

日本では大正時代に雑誌『白樺』などを通じて彼の作品と生涯が知られるようになり、芸術家や知識人を中心に熱心なファンも現れました。1920年代にはフランスのオーヴェール=シュル=オワーズにある彼の墓を巡礼する人までいたほどです。このようにゴッホと日本の間には、切っても切れない関係があるのです。

フィンセント・ファン・ゴッホ《ポプラ林の中の二人》 1890年 シンシナティ美術館蔵(メアリー・E・ジョンストン遺贈) ※日本初公開

本展では、ゴッホの油彩画やデッサン約40点と、関連する浮世絵版画、オーヴェール巡礼に関する豊富な資料などを展覧し、彼と日本の相互関係を掘り下げます。ゴッホ作品の新たな魅力、また彼の作品に潜む「日本」を発見する絶好の機会です。

文/小吹隆文(美術ライター)

『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』

期間:2018年1月20日(土)~3月4日(日)月曜休 ※2/12開館、2/13休館
時間:9:30~17:00(金土曜~20:00)※入館は閉館の30分前まで
会場:京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
料金:当日=一般1500円、大学生1100円、高校生600円 ※中学生以下無料
電話:075-761-4111

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