メディア芸術祭開幕、京都で「Ghost」展

2018.1.16 11:00

詩が朗読される舞台とメディアをつなぐ作品、高嶺格『歓迎されざる者』

(写真3枚)

京都の「ロームシアター京都」(京都市左京区)で、文化庁メディア芸術祭受賞作品を中心とした企画展『Ghost(ゴースト)』が、1月14日に開幕した。

文化庁メディア芸術祭は、1997年より東京で毎年おこなわれているフェスティバル。アート、エンタテインメント、アニメーション、マンガなど、部門ごとに優れたメディア芸術作品を表彰し、受賞作品を展示している。歴代の受賞作品には、ペットロボットの初代『AIBO』やゲーム『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』、昨年には映画『君の名は。』などがあり、技術の進歩やトレンドの軌跡を辿ることもできる。

古いオープンリール式のテープレコーダーから、磁気テープがアクリル容器の中へ落ちていく、和田永『時折織成-Weaving Records-』

同展は、この芸術祭の京都における企画展。今回は、人間の想像力が生み出し、空間を超越して存在する、実在しない幽霊=「Ghost」をコンセプトに、受賞作品15点と新作2点が展示される。幽霊をメディア(媒介装置)としてとらえ、その場にいない人を感じたり、実在しないはずの人とつながることを体感する構成になっている。

津田道子『あなたは、翌日私に会いにそこに戻ってくるでしょうか?』は、さまざまに変化する自身と空間との関係を観察する

たとえば、アート部門新人賞の津田道子作『あなたは、翌日私に会いにそこに戻ってくるでしょうか?』は、いくつものフレームが吊られた空間で、そこに立つ自分、見えている他者、24時間前にそこにいた人、鏡に映る人が入りまじる体験をする。翌日そこに再び立てば、24時間前の自分も同じ空間に存在する、変化する自身と空間との関係を観察するインスタレーションだ。

ほかにも、映像の中の人物と実在の人がつながるインタラクティブな体験や、目の前で詩を朗読する人が仮想の空間に存在するなど、メディアのアートとしての表現力とテクノロジーに驚かされる。入場無料。期間は2月4日まで。

取材・文・写真/太田浩子

文化庁メディア芸術祭京都展『Ghost』

期間:2018年1月14日(日)~2月4日(日) ※展示場所により異なる
時間:10:00~19:00(火曜は13:00~)
会場:ロームシアター京都(京都市左京区岡崎最勝寺町13)
料金:無料

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