NYの伝説的写真家、伊丹で回顧展

2018.3.29 07:00

《足跡》1950年頃 ソール・ライター財団蔵 ©Saul Leiter Foundation

(写真4枚)

1950年代から70年代にかけてファッション写真家として活躍し、1980年代以降は第一線から退くも、2006年に出版した作品集をきっかけに再評価されたソール・ライター(1923〜2013)。彼の回顧展が、4月7日から「伊丹市立美術館」(兵庫県伊丹市)でおこなわれます。

米国ペンシルバニア州ピッツバーグに生まれたライターは、父がユダヤ教の聖職者だったこともあり、幼い頃から神学校で学びました。しかし、宗教的生活に情熱を見出せず、大学を中退してニューヨークへ向かいます。当時のニューヨークは抽象表現主義芸術の中心地であり、ロバート・フランク、ウィリアム・クライン、ダイアン・アーバスなどの伝説的写真家が活躍していました。彼自身も絵画や写真を手掛けましたが、次第にファッション写真の依頼を受けるようになり、『エル』『ヴォーグ』『ハーパーズ バザー』といった雑誌で活躍しました。

《タクシー》1957年 ソール・ライター財団蔵 ©Saul Leiter Foundation

しかし、1981年には5番街のスタジオを閉鎖し、長い隠遁生活に入ります。その沈黙が破られたのは2006年のこと。ドイツのシュタイデル社から出版された彼の作品集『Early Color』が大反響を呼び、世界中からさまざまなオファーが寄せられるようになりました。欧米の美術館で個展が開催され、2012年にはドキュメンタリー映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』が公開されています(日本での公開は2015年)。

《赤信号》1952年 ソール・ライター財団蔵 ©Saul Leiter Foundation

待望の日本初回顧展となる本展では、ソール・ライター財団が所蔵する写真作品(カラー、モノクロ)を中心に、絵画、スケッチブックなどの資料を加えた約200点を紹介します。注目すべきは、1950年代のニューヨークを捉えた写真作品の数々。大都会の日常のひとコマを切り取った詩情豊かな作品には、20世紀モダニズムの魅力がたっぷりと詰め込まれています。写真ファンなら絶対に見逃せない貴重な機会です。

文/小吹隆文(美術ライター)

『ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展』

期間:2018年4月7日(土)~5月20日(日)※月曜休(4/30開館、5/1休館) 
時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで 
会場:伊丹市立美術館(兵庫県伊丹市宮ノ前2-5-20)
料金:一般800円、大高生450円、中小生150円
電話:072-772-7447

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