型破りな唐十郎の世界、テントで体験

2018.4.21 07:00

舞台上で天井から水が流れてきている、唐組『動物園が消える日』(2017年)より Ⓒ唐組

(写真3枚)

50年以上に渡って、型破りな舞台で日本の演劇界に革命を起こしてきた劇作家・演出家の唐十郎が、1971年初演の作品『吸血姫(きゅうけつき)』を、自身の劇団「唐組」で上演。4月の大阪公演を皮切りに、全国を巡回する。

キャパ200人程度の紅(あか)テントで、破天荒かつロマンにあふれた芝居を上演し続けている唐。大御所となった今でも、大量の水を飛ばしたり、思わぬ所から役者を登場させたりと、奔放な仕掛けに満ちたテント公演を毎年敢行している。半世紀前から「特権的肉体」と称して個々の役者の身体性を生かした脚本&演出をつけ、理屈や主義主張よりとにかくワクワクできる要素を舞台に盛り込むなど、演劇の真髄を追い求めてきた。その影響は今なお世代を超えて広がり、現在第一線で活躍する演劇人はもちろん、「唐十郎で演劇の面白さを知った」と言う若手も後を絶たない。

唐組を象徴する紅テント
唐組を象徴する紅テント

ただ、小さなアミューズメントパークのようなその舞台は、何でもアリなあまり、パズルに近い複雑さがあったのも事実だ。しかし2012年に、唐組劇団員・久保井研との共同演出スタイルになってからは、ムードや勢いだけに頼らず、戯曲を丁寧に解釈して上演。物語の筋や隠されたテーマが読み取りやすくなったと、さらに評判を高めている。

唐十郎と共同演出をつとめる唐組劇団員・久保井研
唐十郎と共同演出をつとめる唐組劇団員・久保井研

最新公演『吸血姫』は、日本から満州を股にかけた壮大な幻想冒険芝居で、なんと47年ぶりの再演。歌手志望の看護師、不老不死の血を探す女、伝説の女スパイ・川島芳子の話などが幾重にも絡む物語だ。久保井は「47年前の戯曲にも関わらず、仮想通貨騒動など、怖いほど現在を予見している所もある。化け物のようなドラマツルギーを持つ、とんでもない作品です。いろいろな想いをキャッチできる、ダイナミックなテント劇の世界を味わってほしい」と語った。

大阪公演は、4月27~29日に「南天満公園」(大阪市北区)にて(雨天決行)。料金は一般前売3500円、当日3600円、学生3000円。

文/吉永美和子

『吸血姫』大阪公演

日時:2018年4月27日(金)〜29日(日)・19:00〜
会場:南天満公園(大阪市北区/地下鉄天満橋駅より徒歩10分)
料金:一般前売3500円、当日3600円、学生3000円
電話:03-3330-8118

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