大阪で、幕末・明治の町人学者の展覧会

2018.4.20 13:00

『水族図譜』(第一冊)より「チタヒ」 堀田龍之助編・森関山筆 明治13年 和歌山市立博物館蔵

(写真3枚)

幕末・明治の大阪で活躍した博物学者・堀田龍之助(1819~1888)。彼の業績を振り返る展覧会が、4月25日より「大阪歴史博物館」(大阪市中央区)でおこなわれます。

堀田は大阪で商家を営みながら博物学の研鑽を重ねました。若い頃には和歌山の博物学者・畔田翠山と交流し、多くの知識を身につけています。また、京都の山本読書室(平安読書室)にも出入りしており、医師で博物学者の山本榕室と情報交換や写本のやり取りをしました。明治時代になると大阪に開設された博物場に勤め、明治期の博物館建設に大きな役割を果たした田中芳男らに協力して、畔田翠山の著作『水族志』の刊行にも尽力しています。

湖魚奇観(藤居重啓撰 湖魚図証ほか貼込屏風) 六曲一双 19世紀 大阪歴史博物館蔵(堀田コレクション)

江戸時代の大阪には木村蒹葭堂や間重富などたくさんの町人学者が現れ、「懐徳堂」や「含翠堂」などの町人学校もあちこちに建てられました。彼らの活躍は現在の大阪文化のベースとなっていますが、堀田龍之助もそうした町人学者の1人として記憶されるべき存在です。

貝類標本 19世紀 大阪市立自然史博物館蔵

本展では、堀田が所蔵していた博物学関係の資料(堀田コレクション)約100件を通して、大阪における博物学・博物館史の一端を振り返ります。畔田翠山の『水族志』に堀田が新たに彩色図を加えて編集した『水族図譜』、琵琶湖の魚や生き物とその説明が張られた屏風(湖魚奇観)、貝類の標本など貴重な品が多数含まれており、博物学に精通していない人でも十分楽しめます。料金は大人600円、期間は6月18日まで。

文/小吹隆文(美術ライター)

特別企画展『なにわ人物誌 堀田龍之助 -幕末・近代の大阪に生きた博物家-』

期間:2018年4月25日(水)~6月18日(月)※火曜休(5/1開館)
時間:9:30~17:00 ※入館は16:30まで 
会場:大阪歴史博物館(大阪市中央区大手前4-1-32)
料金:大人600円、大高生400円、中学生以下無料 ※常設展示料金で観覧可
電話:06-6946-5728

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